2008年08月アーカイブ

2008年08月14日

京都 直指庵

夏休みを2日間とり、
酷暑の京都に出かけた。
誰もが、夏の京都はどうかしらねぇ…と
首をかしげる中、
京都を選んだのは、私自身だった。

確かに、体中が茹であがるように熱く、
過酷な旅だった。
太陽が照り続け、風もなく、
気温36度という中、
清水寺、金閣寺、二条城、
仁和寺、龍安寺をひたすら歩き、
頭の中が溶けはじめ、
もうろうとしながら、
お寺の中の庭をながめた。
静かに、思いにふける状態など
あり得ない環境は、
私をもっとストイックにさせていった。

今回、京都に来たメインの理由に、
嵯峨野にある直指庵という
名の知れないお寺を、
再び訪ねるということがあった。
そこは、30年前、
私が高校の修学旅行のとき、
自由行動の時間に
人に教えてもらったのか、調べたのか、
もう忘れてしまったけれど、
ひっそりと行った場所だった。

30年ぶりに訪れたそこは、
変わらずひっそりと
竹林の中にたたずんでいた。

「想い出草」というノートに、
女性が自分の心を打ち明けるための場所として、
そのお寺は、変わらず存在していた。

竹林の中、細い細い石畳の道を上ると、
30年前の記憶が、
あの頃の私が、
そこにはあった。

人生の苦しみや悩みなど、
今から思うと、何もない私は、
たくさんの女性が「想い出草」のノートに向かって、
泣きながらペンを取っていた様子を
見つめていた。
ノートには、様々な女性の想いが
綴られており、
何ともいえないショックを受けて
帰ってきたことを思い出した。
今、私は、女性のためのカウンセリングルームで、
カウンセラーとして仕事をしていることが
とても不思議に思えた。

30年前のあの日に導かれ、
ここに、今、いるようで、
二度目の京都に、
ぜひこのお寺に来たいという思いがあった。
いっぱいの感謝の気持ちを、
手を合わせて祈りたかった。

暑すぎる京都は、
今回、私に、
熱い想いを与えてくれた。

今回、ここに来たのが夏でよかった。
美しすぎる春や秋の場所ではなく、
厳しい環境が、私の胸の中に、
何かを与え、気付かせたと思っている。

投稿者 椎名 あつ子 : 12:13 

プロフィール

横浜心理ケアセンター

『横浜心理ケアセンター』

2000年から横浜市中区で開設しているカウンセリングルームです。
多種医療・弁護士などとの協力体制のもと、心理カウンセリングを行っています。
このブログでは、センターの代表である私が、一人の人間として、一人の女性として、またカウンセラーとして、日々の生活の中で感じた様々な出来事などをエッセイ風にみなさんにお伝えしていきたいと思います。

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