2013年02月アーカイブ

2013年02月16日

男と女

「私は、あの人を殺した夢を見た。
 そして、どうぞ死んでくださいと、
 目が覚めて祈った。」

ヘルマン・ヘッセの小説の中の
一節のことば。

あんなに愛していたのに。
あんなにそばにいつもいたのに。
あんなに、この人と出会えたことを
神様に感謝していたのに。

何年かして、知らない間に、
お互いの考えや価値観が
違う方向に行きはじめる。

そして、その何年間の月日の中で、
傷付けられたり、
許せなかったりした感情は、
どんどんと大きくなり、
体の底で重いかたまりとなってしまい、
どうしても、どんなに努力をしても、
相手を許せなくなり、
時に笑って話す日があっても、
一時的にふたをすることはできても、
体の底の黒いかたまりは決して消えず、
あるとき突然、ふたが開いてしまう。

凍りつくような悲しみや、
孤独を感じながらも、
怒りの炎はどんどんと燃え上がり、
過去の楽しい記憶は
灰と化して消えていく。
「さようなら」
と、伝える前に。

悲しい結末の夫婦カウンセリングを
たくさん見てきた。
小さな小さな、無邪気な、無垢な、
かわいい子供を抱きながら、
ふたりはどんどんと離れていく。
小さな子供は、自分の将来を何も知らず、
でも、おびえた目でふたりを見つめる。

カウンセリングでは、
元の夫婦に戻るケースと、
お互いのどうしようもない距離感を確認して
別れる決断をするケースと、
2通りある。

カウンセリングがマジックで、
魔法を使うことができるのなら、
お互いの過去の記憶を消したいと、
時々、考えたりする。

選ばれた運命で出会ったふたりであっても、
やはり、別れる運命を背負って
生きてきたのだろうか。

男と女の永遠のテーマなのかもしれない。
とてもつらい日だった。

投稿者 椎名 あつ子 : 11:08 

2013年02月06日

満月の日

母は77歳になった。

喜寿の祝いに、
私の子どもからおばあちゃんにと、
プレゼントをもらっていた。
アナスイのネックレスと、
真っ赤なシャネルの口紅。
いつまでも、若く美しいおばあちゃんで
いてほしいという
願いをこめたのだと思う。

母は目をはらして泣きながら、
「私はなんて幸せなのかしら」
と言っていた。
それでも、母には、
老いの苦しみや悲しみや恐怖は
あるのだと実感する。

「あと何年、生きられるのかしら」
とつぶやく母。

私にとっても、あと何年、
この祝いのようなイベントを
してあげられるのだろうか、
必ず終わりのくる命を考え、
そして考えないようにしながら
接していくこれからの時間が、
とれだけ大切で、
そしてどれだけ重く、
そしてどれだけ愛しいのか、
そんなことを考える時代が
刻々と、まさに今、やってきている。

優しく穏やかに、
そして覚悟をしながら、
私はやはり、母の娘でずっといたいと
思っている。
私のすべてのルーツの始まりを
生み出した人だから。

マザーファクターという有名な本がある。
母親の子育て(mothering=マザリング)に
ついての本だが、
すべての母は、その子どもの要因であり、
その子への影響力を握っている。

私の体と心のほとんどを、
彼女は作り上げたのだとさえ思う。
感謝…。
だけど、ひとことではいえない
いろんな思いがある中で、
やはり、私の母はすごいのだと
改めて思った日だった。

そして、その日は、
美しすぎる程の大きな
赤い満月の日でもあった。

投稿者 椎名 あつ子 : 20:30 

プロフィール

横浜心理ケアセンター

『横浜心理ケアセンター』

横浜市中区に開設している女性のための心のカウンセリングルームです。
このブログでは、センターの代表である私が、一人の人間として、一人の女性として、またカウンセラーとして、日々の生活の中で感じた様々な出来事などをエッセイ風にみなさんにお伝えしていきたいと思います。

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