こどものこえ
夏休み。
家の前の道から、
電車の向かいの席から、
こどもたちの元気な声が響いてきます。
ありあまるエネルギーに、
保護者の方は困り顔。
静かにしなさい!の一声に、
生まれる静寂はもって5秒。
再び元気な笑顔がはじけます。
こどもの声は騒音か。
少し前から、
保育園の建設などを巡り、
そんな話題があがっています。
よく響くこどもの高い声は、
それを見守るおとなの声とあいまって、
時に苦痛を与えうるのかもしれません。
ただ私は個人的に、
こどものうるさい声が大好きです。
近所の公園から響いてくる声。
おとなは顔をしかめるだけの、
下品な一言で、いつまでも笑い転げる。
彼らの楽しい世界を想像して、
こちらまでにやけてしまったり。
電車の中、
つまらないと騒ぐ声。
まだまだ短い人生の中で、
永遠のように感じられる時間の浪費。
ぶつけている不満はもっともで、
思わず納得させられてしまったり。
うるさい声と言ってしまえばそれまでですが、
うるさい声にも、必ず内容があるのです。
耳を傾けてみれば、
自分もかつて見ていたはずで、
おとなになって忘れた景色を、
一瞬、垣間見せてくれるのです。
その一方、
小学校高学年から高校生ぐらいになると、
うるさいどころか、
まともに話したがらず、
無理な背伸びをしたり、
浅はかな問題行動を起こしたり。
そんな中にも、
声にならない、
伝えたい想いがいっぱいあると思うのです。
迎える新学期。
こどもの自殺が最も多い時期。
そして、
頭から消えない、痛ましい事件。
切に願うのは、
どうか元気な声が続きますように。
そのためにおとなができるのは、
こどもの声に耳を傾けること。
拙い表現に、向き合い続けること。
切って捨てた中に、
大事なものがないか、確かめること。
尊い声が、
彼らの力になってくれる人に、
届きますように。
文:スタッフ T.S.
代表:椎名 あつ子
2015.08.26