家族
最近、ある人が
「家族は自分を支えてくれるもので、
あたたかなもの、かけがえのないもの」
と話しているのを聞いて、
少し心に刺さりました。
「家族」という言葉は、
受け取る人によって温度がだいぶ異なるものなのではないか、
と思ったのです。
あたたかな、仲が良い、幸せな、ありきたりの、平凡な、
そんな形容詞がつくような家族を持つ人は、
きっとあたたかなものと感じるのでしょう。
べったりの、過干渉な、すぐに口出ししてくる、
子(親)離れのできていない、
そんな形容詞がつくような家族を持つ人は、
熱すぎると感じるかもしれません。
それぞれが自立した、個性が強い人の集まりのような、
そんな形容詞がつくような家族を持つ人は、
あまり温度を感じないかもしれません。
けれど、私たち心理士が出会う人の多くは、
冷たさを感じているのだと思います。
あまりの冷たさに麻痺してしまっている人すら、います。
家族から深く傷つけられ、尊厳を踏みにじられ、
あるいはひどく縛り付けられ、
何もかもを奪い取っていかれるような体験をしたり、
心にも身体にも記憶にも、深い深い傷を持つ人も、います。
血のつながった家族は、どこまで行っても家族で、
本当に縁を切ることは
とてもとても難しいものです。
けれど、少しだけ距離をとることはできるかもしれません。
物理的に距離をとることができなくても、
精神的にはもしかしたら、少しだけなら、できるかもしれません。
あるいは、新たな家族を持つことも、できます。
今の家族を壊して、新たな家族を持つことだって、あります。
家族を少しずつ修復していくことができる場合もあります。
いろいろな家族があって、いろいろな人がいて、
簡単なことではないことも分かっていますが、
私の願いは、
一人でも多くの人が、
家族をあたたかいものだと感じられる体験ができることです。
そのために、当センターがお手伝いできれば幸いです。
文:スタッフ sachi
代表:椎名 あつ子
2016.05.10