朝がつらいあなたと、その周りの人へ
起立性調節障害というものをご存じでしょうか。
主に思春期の子どもに見られ、
朝起きられない、
立っていると気分が悪くなる、
といった症状があります。
本人にとっては非常につらいものですが、
その症状の特異さ、伝わりづらさから、
甘えているだけ、
頑張ればなんとかなる、
などと誤解されやすいものでもあります。
なぜ、起立性調節障害の子に、
厳しい言葉をかけてはいけないか。
それは、本人だって、十分わかっているからです。
朝、鈍く痛む頭に浮かぶのは、
『学校に行かなきゃ単位が取れない。』
『みんなが頑張っている時に、自分だけ休んでいる。』
そんな焦りや罪悪感。
それでも、鉛のように重い身体は、
まるで強力な磁石のように、布団に貼りついて離れない。
夜になれば逆に眠れなくなり、
TVやゲームで時間をつぶしていれば、
『夜更かしして、朝起きられないのは当然だ。
これは病気でもなんでもなくて、ただの甘えなのではないか。』
という考えが頭をよぎる。
誰に言われなくても、
もう十分、苦しんでいるのです。
実は、私も小学生の時に、
起立性調節障害と診断されました。
当時は今よりもっと知られていませんでしたので、
本当に良い先生に巡り会えたと思っています。
さらに私が幸運だったのは、
周囲のおとなも友だちも、
誰一人、私を非難しなかったことです。
それでも、
起立性調節障害が誤解されやすいことは知っていました。
あるTV番組で、
『私は朝、起きられないというのは甘えだと思っている。
寝ていても、トイレに行きたくなったら起きるだろう。
人間は必要な時は起きられるようにできているのだ。』
というようなことを言っている医師を見た時は、
専門家の中にさえ、
たとえ大きな地震がきても起き上がれない、
あのつらさがわからない人がいるのだと唖然としました。
だから、
私はこれまで、起立性調節障害のことを
人にはあまり話してきませんでした。
ではなぜ今、このブログを書こうと思ったか。
それは最近、私の周りで、
起立性調節障害と診断される思春期の子が増えてきたからです。
そして、
それにもかかわらず、まだまだ誤解されがちだと感じているからです。
カウンセリング・ルームのブログを通して、
少しでも理解を広げることができたら、
そう思って、少しだけ、自分の話をすることにしました。
今、起立性調節障害に悩んでいるあなたへ。
まずはお医者さんで、薬を処方してもらってください。
それが効かなければ、漢方という方法もあります。
罰ゲームの飲み物のように不味いですが、私にはとても効きました。
そして、
理解されない苦しみを抱えているなら、
カウンセリングも一つの方法です。
心が弱いから話を聴いてもらうのではありません。
進路相談なんかと同じで、知識がある人に相談するのです。
椎名先生はあなたの『闘い』を『甘え』だなんて言ったりしません。
経験者の私が保証します。
一番悲しいのは、自分はダメな人間だからで終わらせること。
あなたのつらさを理解してくれる人は、必ずいます。
文:スタッフ T.S.
代表:椎名あつ子
2016.08.23