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本当の優しさ

昔好きだった漫画のセリフに
「本当に優しい人は、強くなきゃいけない」
というセリフがありました。
とても心に響いて、ずっと覚えているのですが、
当時は幼くて意味がわかりませんでした。
いえ、大人になった今でも、
本当にわかっているのか、わかりません。
ただ、そのセリフが私の心の中に
いつもなんとなくあって、
「優しさ」ということに対して
たびたび考えることがあります。
昔はぼんやりとしかイメージできませんでしたが、
最近は少しはっきりとイメージできるように
なってきたかもしれません。
それは、もしかしたら
一般的な“優しさ”とは異なるかもしれません。

別の職場で子どもと接する際に、よく考えるのです。
今、目の前の子どもがしてほしいことを
私がやるということが
本当にこの子のためになるのか、と。
そういう時はいつも
短期的・中期的・長期的に考えています。
短期的というのは今すぐの話、
中期的というのは
もう少し長いスパンで考えて
この1~2年、自分が関わる間のこと、
長期的というのは
私が関わることができなくなった先も含めて
この子の人生として考えた時に、
という意味です。

例えば、目の前の子どもが自分の靴の紐を
自分では結べなかったとします。
それを私が代わりに結ぶことが
“優しさ”だと考える人もいます。
そういう場合もあると思います。
今、急いで靴を履くことの方が必要な状況もあるからです。
けれど、結び方を見せてからほどき、
本人に結んでもらうことが“優しさ”となることもあります。
本人に達成感を抱いてもらったり
今までできずに来たことに挑戦する喜びを感じてもらったり
本人に任せるということは
本人を信頼するということでもありますから、
信頼関係ができることもあります。
あえて、自分から結び方を教えて欲しいと言うまでは
こちらから声をかけないという“優しさ”もあります。
いつも誰かが気がついてくれて
手を貸してくれるとは限りません。
自分から助けを求めること、
それに応えてくれる人を見出すこと、
頼む時の言い方、
頼んでも良い状況かを判断すること、
などなどたくさんのことを身に着けるチャンスでもあります。
そういったことを身に着けられるようにするのが
“優しさ”とも言えます。
これらは、状況や子どもとの関係など
様々なことを含めて判断することでもあります。

あげた例は、教育の場面の話でもあるのですが、
意外と別の場面でも当てはまる部分があるのではないでしょうか。
ついつい、すぐに手伝うことがわかりやすいので、
“優しい”と思ってしまいがちですが、
実は、手伝わないことも“優しさ”になる場合があります。
けれど、どうでしょうか。
手伝わないことが“優しさ”という考え方を
してみたことがありますか?
意外と考えた事がある人は少ないのではないでしょうか。

伝わりにくい“優しさ”は、非難されることも多いと思います。
人から良く思われたいとか、
優しいと思われたいという気持ちは
あって当たり前の感情だと思います。
誰にだって多少なりともありますよね。
けれど、それに左右されずに、
どう思われるかに関わらずに、
強くいられることが
本当の優しさには必要だと、
あのセリフは
そういう意味だったのではないか、と思っています。

別の例をあげてみると、
ある友人が困っていることに気がついた時に、
Aさんはすぐに声をかけて手伝う、
Bさんは声をかけた方がいいのか悩み、葛藤し、
結局声をかけられなかったとします。
Aさんは“優しい”と言われるでしょう。
けれど、Bさんは優しくないのでしょうか。
私は個人的には、AさんもBさんも優しいと思っています。
そして、つい見逃されがちなBさんの優しさが
見いだされる社会であってほしいと思っています。

こういった話は、
友人や親子や夫婦でもよくある話のように思います。
「何もしてくれない」と思った時、
ちょっといつもと違う見方をしてみてください。
相手はどうしたらよいのかわからなかったのかも・・・。
手伝うことが余計なお世話になってしまうと
思ったのかも・・・。
優しさが足りないように見えても、
見方を変えてみると、もしかしたら、
あなたが思う優しさと、相手の思う優しさが
異なっているだけなのかもしれません。

あなたが誰かに優しくしようとした時、
あるいは誰かに優しくされていないと感じた時、
ちょっと考えてみてください。
本当の優しさとは何なのかを。

文:スタッフsachi
代表:椎名 あつ子

2018.11.01

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