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大人の発達障害~生きにくさを感じている方へ~

このところ、よくテレビ番組で
大人の発達障害が取り上げられています。
著名人でも「実は発達障害です」と
発言される方が増えたように思います。
“大人の”発達障害とは、
大人になってから“発達障害になった”という意味ではなく、
大人になってから“発覚した”という意味です。

発達障害は、その人自身が持っている特性なので、
子どもの頃から持っています。
けれど、発達障害と一口に言っても
いくつかの種類もありますし、
複合している場合もありますし、
それぞれの状態や程度は異なります。
はっきりと傾向がある人もいれば、
ちょっとよく見ないとわからないくらいの人、
それまでは気がつかなかった傾向が
環境の変化によって浮き彫りになってくる人など、
さまざまです。

例えば、アルコール飲料で考えてみましょう。
アルコールの濃度が20%くらいであれば、
一口飲めばアルコールだとたいていわかりますし、
飲まなくても香りでわかる人もいるでしょう。
アルコール7%くらいだと、
たいていの人が飲めばわかるでしょう。
アルコール3%くらいだと、
アルコールに弱い(敏感な)人にはわかっても
アルコールに強い人は「ジュースと変わらない」という人も
いるかもしれません。
アルコール1%くらいだと、
アルコールにかなり敏感でないと
気付かないかもしれませんね。
では、アルコールが0.5%では
どうでしょう?
日本では、アルコール1%未満は
「ノンアルコール」とされています。
つまり、0.5%はアルコールではないとされていますが、
0.0%とは違ってわずかに入っています。
アルコールが入っているけれど、
「入っていない」とみなしても
かまわないとされているわけです。
けれど、アルコールのアレルギーがあれば、
0.5%であろうと反応するでしょう。

発達障害も似ています。
発達障害について知らない人でも
見てわかるくらいにはっきりとした発達障害もあれば、
詳しい専門家でないとわからないくらいの場合もあります。
ちょっとくらい発達障害の傾向があっても
発達障害ではないと言ってかまわない場合もあります。

つまり、子どもの頃に
発達障害だと発見してもらえるのは、
発達障害の傾向が強かったり
特徴がはっきりと表れている場合が多いのです。
そしてそれを保護者や周りの大人が
発見して受け入れてくれたからこそ、
発達障害と診断を受けているのです。

大人になるまで発達障害だとわからなかった人は、
特徴があまり表れていなかったり目立たなかったり、
自分自身や周りの人が上手にフォローして
うまく適応してきた人が多く、
診断されることにあまり意味がない場合もあります。
そして、実は周りは発達障害かもしれないと思っていても、
本人や保護者が受け入れなかった場合もあります。

大人になってから発達障害かもしれない・・・
という人の中には、
小中学校ではおとなしく、大人の言うことをよく聞いていて、
似たような性格の友人たちと一緒にいて
あまり他者とのズレを感じずに
なんとなく過ごしてこれたけれど、
高校や大学、アルバイトや就職、
恋愛や結婚といった段階になって、
より複雑な人間関係や
より複雑な行動を求められるようになった時に、
うまく適応できなくなる人もいます。
そこで初めて
「なんとなく他の人とうまくいかない」
「なんとなく他の人と違う気がする」
「他の人が当たり前のようにやっていることが
 なぜだかわからないけれど、できない」
「自分ではやる気はあるのに、できない」
「他の人の会話の意味がよくわからない」
などの違和感を抱いて、
いろいろ調べてみて「発達障害」というものを知り
「自分は発達障害かもしれない」
という人が多いように思います。

では、大人になってから
「発達障害かもしれない」と思った場合、
どうしたらよいのでしょう?

これも一概には言えないのですが、
まず専門家に相談してみてほしいのです。
どんなことでどんな風にどの程度困っているのか、
どうしたらよいのか。
うまく話せなくても大丈夫です。
それを上手に一緒に考えていくのも
専門家の仕事のうちです。

診断を受ける受けないに関わらず
(発達障害であるかどうかに関わらず)、
発達障害かもしれないなと思った方は、
自分の特徴や傾向と、対策を知ることは
とても大切です。
それは、自分自身が生きやすくなるためだけではなく、
大切な人に誤解を与えたり傷つけたりすることを
減らすためにもなります。

この記事にたまたま出会ったという方は、
もしかしたら「大人の発達障害」を
調べていたのではないでしょうか。
ご自身、あるいは周りの人に
そういった方がいるのでしょうか。

もし、悩んでおられるのでしたら、
どうぞ一度ご相談にいらしてください。
当センターは病院ではありませんので
診断はできないのですが、
傾向や対策についてはご相談にのることができますし、
必要であれば、病院をご紹介することもできます。

より自分らしく
より傷つくことの少ない生き方をしていけるように
サポートできたらと思います。

文:スタッフsachi
代表:椎名 あつ子

2019.05.14

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