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「女性のためのこころの相談室」 第286号
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「女性のためのこころの相談室」 第286号
.。・・ °・ . ★ 横浜心理ケアセンター
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2006.8.8
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~~~ 心の鎧 ~~~
私は学生のとき、母校である高校に
教育実習に行ったことがあります。
2週間という短い期間なのですが、
それほど歳も離れていない高校生を目の前にして、
実際に授業をすることは、当時の私にとって
大きな挑戦でした。
教室で、壁いっぱいの大きな黒板の前に一人立ち、
40人の顔と80個の目が向けられながら、
50分間授業をするという初めての経験に、
まさにこれが、「心臓が飛び出そうな感覚」だ、と
両足が浮いた感覚になり、本当に緊張の極致でした。
現役の教員の方々が、研修のため
私の授業を聞きに来たときなどは、
授業が終わってからしばらくは放心状態で、
何を話したのか記憶が定かでないほどでした。
その後、私はなぜか涙した記憶があります。
なぜそれほどまでの緊張に襲われるのか、
本当に悩み続け、夜も眠れぬほどでした。
けれども今、その時の自分を振り返って思います。
格好良くいたいから、
失敗した姿を他人に見せたくないから、
弱い自分ではいたくないからなのでしょう。
人は誰でも自分を格好良く見せたいという欲求があります。
他人から良く思われたいという気持ちもあります。
他人から嫌われたくないからです。
そういった気持ちを持つことは悪いことではないですし、
場合によっては自分を向上させたり、
成長させる動機にもなるのですから、
必要な感情でしょう。
けれども、その気持ちが強すぎて、捉われすぎて、
自分の心が支配されてしまっているとき、
いつのまにか自分の心に鎧を着せて、
がんじがらめの自分にしてしまうこともある気がします。
身動きがとれなくなってしまうのです。
当センターにカウンセリングに通う方の中には
様々な過去の苦しみや悲しい出来事、
育った環境などによって心にいろいろな鎧を
着せて苦しんでいる方もいらっしゃいます。
カウンセリングに通いながら、その鎧を
一枚ずつ脱いでいくことで、他人の目ばかりを
気にしなくてもいいこと、
格好悪い自分がいてもいいこと、
本来の自分らしさ、
本当の自分の心に耳を傾けていくこと
などに気がついていくことができるのです。
教育実習での授業自体は毎回緊張の連続で
辛い思い出ばかりですが、
自分自身を見つめる大きなきっかけとなり、
本当に素晴らしい経験ができたと、今だから思えます。
当時の私を支えてくれたのは、
その授業を聞いてくれた高校生たちでした。
時には冗談をまじえながらも、
あたたかく応援してくれました。
今ごろは立派な大人たちになっていることでしょう。
彼らには心から感謝しています。
文 : スタッフ ながさき たえ
-- 代表カウンセラー 椎名 あつ子 --
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・ 編集/発行 :椎名 あつ子(しいな あつこ)
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