2007年09月07日

15歳

ある15歳の女の子の話を聞きながら、
15歳のときを想い出していた。

高校1年生という、
大人になりきれない少女の私は、
5つ以上年上の大学生に
恋をした。

背が高く、
優秀な大学に通っているその人は、
すべてが完璧に見えた。
穏やかに話すその人の姿は、
15歳の私を、夢中にさせた。

でも、その人は、
社会から反発されている
問題ある新興宗教に入っていた。
母はそのことを知り、
泣き叫び、狂い、
恐怖を抱きながら、
私を必死に守ろうとしていた。
母は、学校の帰りは、
校門で毎日待ち、
休みの日は、
どこにも行けないように
私の靴をすべて隠し、
私を部屋に監禁した。
そして、何度も叩かれた。
私も必死に抵抗した。

大学生の彼が、
どうしていけない人なのか、
知りたくなかった。

親子の闘いの日々が始まった。
親を捨ててもいいとも思った
あの頃。

ふり返ってみると、
それでも15歳の私には、
何となく分かっていた。
母親の言うことが、
本当は正しいということを。
この人を、愛し過ぎては
自分がダメになることを。

私は、どんなに勧められても、
その宗教に入ることはなかったし、
学校にも毎日通い、
彼との体の関係は
ひたすら断っていた。

15歳の少女の私は、
最後のラインはきちんと知っていた。

あの頃の母は、
私にとって敵でもあり、
唯一、すべてをかけて守ってくれた
天使でもあった。

分かっていたのに、
やはりスナオになれない
15歳の私がいた。

目の前にいる15歳の少女を見ながら、
この子の心の奥底にある
本当の力を信じたいと、
感情的になる思いを
必死に押し殺しながら、
ひたすら神に祈った。

「どうか、どうか、
彼女をお守り下さい」

母親とは何かを問いながら。

投稿者 椎名 あつ子 : 14:57

プロフィール

横浜心理ケアセンター

『横浜心理ケアセンター』

2000年から横浜市中区で開設しているカウンセリングルームです。
多種医療・弁護士などとの協力体制のもと、心理カウンセリングを行っています。
このブログでは、センターの代表である私が、一人の人間として、一人の女性として、またカウンセラーとして、日々の生活の中で感じた様々な出来事などをエッセイ風にみなさんにお伝えしていきたいと思います。

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