2010年07月アーカイブ

2010年07月28日

モロッコへ

昔、観た映画、
シェルタリングスカイを、
再び観た日からだと思う。

子どもじみているけれど、
モロッコに行きたくて仕方がない。
というか、
モロッコに行かなくてはいけないような
気がしている。

現実的に、今は無理とは分かっていても、
モロッコに行ってみたい。

こんな衝動的な感覚ははじめてで、
イタリアでもフランスでも
NYでもなく、
モロッコなのだ。

モロッコに行くためには、多分、
よく分からないけれど、
マラリアや腸チフスや、
ありとあらゆる予防接種が
必要となるかもしれないのに、
北アフリカに、私は今、
何かを求めている。

求め始めたら、手に入れたい。
手に入れるために、求め続けたい。

久しぶりに大きな恋をしてしまったようで、
今は、ドキドキ感を楽しんでいる。

何年後かに実現するために、
私は、久しぶりの夢に取り付かれ、
それに心地良く陶酔している。

私に大きな目標ができた。
モロッコに行くこと。

これは、意味のある目標だと思っている。

投稿者 椎名 あつ子 : 12:05 

2010年07月21日

正しい形

昼休み、スタッフと外食をしに出かけた。
食後、小さな昔からあるような
喫茶店を見つけ、入った。

そこは、まさに「正しい」喫茶店で、
年老いたマスターは、
ひたすらコーヒーを入れる
職人風の無口な人で、
小さなアーチ型の窓に、
大きな古びたシャンデリアが輝き、
小さなミルクピッチャーに、
コーヒーカップのお皿の上には
華奢なスプーンがついてきた。

ひとときの時間は静かに流れ、
私たちは、忘れかけていた
「正しい形」
を思い出していた。

コーヒーがおかわり自由になったり、
店員の「いらっしゃいませ~」の声が
当たり前で、それがサービスだと
思い込んできてしまっている中、
これが、正しい形だったのだと、
忘れていた何かを
思い出させられた。

私の中で、昔、
コーヒーといえば、
苦くてすっぱいキリマンジャロだった。
これも、忘れていたなつかしい名前だった。

久しぶりのキリマンジャロは、やはり、
私にとっては、変わらない、
正しいコーヒーの味だった。

変わらない正しさを
久しぶりに感じられた、
有意義な時間となっていた。

投稿者 椎名 あつ子 : 12:53 

2010年07月15日

ママ

やはり変わらないあなたへ。
いいえ、変わってしまったあなたへ。

最近の老いたあなたの
ひとことひとことに、
私は、悲しみと苦しみを隠せず、流せず、
心は凍えていく。
そして、過去を思い出すときに、
なつかしくも切ない絶望が
そこにはある。

あのときの私とあなたの
その関係性は、
ときに今でも変わることなく、
私は、あなたの顔色を、
そして機嫌をうかがう。

ママ、
あなたはとても優しく、
そして、とても冷たい。

あと残り少しの時間、
もうあのときのように
あなたを憎みたくない。
私は、あなたを、
心から素直に、
本当は抱きしめたい。

どうか、神様、
私に、大きな海のような
ゆらゆらとキラキラと
眩しく美しい心と、
月の光のような
静かに照らす思いやりと、
朝から降り続ける雨を眺めながら
自然にあきらめられるようなゆとりを、
とうか、お与えください。
もう二度と、あの頃のような私には、
なりたくないのです。

ママは、私のたったひとりの、
神様、あなたが選んで私に与えた
母親なのですから。

投稿者 椎名 あつ子 : 11:13 

2010年07月07日

目を伏せるとき

カウンセラーであっても、
この仕事のプロフェッショナルであっても、
相手の目を見て話が聴けなくなり、
もっといえば、
目を見て話ができなくなり、
涙が出そうになり、
感情があふれ出しそうになる。
一瞬の時間が、
とても長く感じられるときがある。

頭の中で、
ありとあらゆる言葉が消えてなくなり、
心臓の音だけが、
時計の音よりも大きく感じるときがある。

目を伏せずにはいられない自分に
戸惑いながらも、
私も、生身の人間だと思えるときもある。

私はそういうとき、
必ずといっていいほど
思い出すことがある。

優しすぎた義母が、
末期のガンに侵され、亡くなる前、
眉間に険しいしわを寄せて、
今まで見たことのない表情で、

「くやしいのよね」

と言ったとき、
私は、目を伏せた。

私は、あれでよかったと、
今でも思っている。

彼女を見続けることは、
侵してはいけない領域に入り込むことだと
感じたのかもしれない。

人は、見てはいけない、知ってはいけない
極限の何かがあるのだと、
教えられたときだった。

目を伏せずにはいられないとき、
私は、いつも義母に
助けられている気がする。

今日、そんな瞬間があったときだった。

投稿者 椎名 あつ子 : 15:58 

プロフィール

横浜心理ケアセンター

『横浜心理ケアセンター』

2000年から横浜市中区で開設しているカウンセリングルームです。
多種医療・弁護士などとの協力体制のもと、心理カウンセリングを行っています。
このブログでは、センターの代表である私が、一人の人間として、一人の女性として、またカウンセラーとして、日々の生活の中で感じた様々な出来事などをエッセイ風にみなさんにお伝えしていきたいと思います。

月別アーカイブ

カレンダー

2010年7月
« 6月   8月 »
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031  

オススメ