2015年10月アーカイブ

2015年10月20日

母の手術の日

 

母を手術室まで見送ってから
どれだけの時間が経ったのだろう。
午後の優しい光の空は
いつの間にか暗くなり
街の電飾が光り始めた。
ひたすら待つしかない時間は
母にとっては闘いの時間でもある。
待合室の窓から見える景色は
何も答えず、沈黙を守り続けているように見える。

人が命と闘う時は
強い沈黙と孤独なのだろうと
あらためて知った。

そして、命を見守るわたしの力は
なんとちっぽけなんだろう。

それでも
私を生んでくれた母の魂と命の力を
信じている。

沈黙はたしかに
大きな心の叫びを秘めた
形なのだと思った。

そんな長い一日だった。

投稿者 椎名 あつ子 : 16:39 

2015年10月01日

アンガーマネージメント

 

それは届かない、言葉だとしても

何度でも伝えていきたいと思う。
偽りのない感情を
きっといつかわかってもらえると信じながら。
それなのにいつの間にか
誠実であるはずの言葉や、時間は
激しい怒りが溢れ出し
心の中は水浸しになってしまう。

アンガーマネージメントは
やはり自分一人では難しいと
感じずにはいられない。
ただ、私は知っている。
アンガーの大きな源は
大きな悲しみと、忘れられない事実
であるということを。
消し去ることのできない
心の中に、ずっしりと残った
その事実で
その物体に囚われてしまっていることを。
だから
その物体を
どうにか、誰かに、、、
目の前にいる人に
取り除く努力をして欲しいと伝えたいのに。
それを伝えればいいのに
その言葉は
違う言葉となって発信してしまう。
だから、届かない言葉は
永遠にくりかえされてしまう。
私に忘れさせてほしいの。
とお願いさえすればいいことなのに
アンガーは違う生き物となって成長してしまう。

夫婦カウンセリングでいつも感じること。
それは、お互いが素直に
相手に届かせたい言葉は本当は何かを
相手を責めたいのではなく
わかってほしいのだと
願っている自分を受け入れれば
アンガーは少しは優しさに変われるのに。

毎日の夫婦カウンセリングで
いつも、その人の届かない言葉を
探して、集めて
小さな箱につめて
相手にプレゼントする。
なるべく素敵に、かわいらしく。
それが、私のカウンセラーとしての
仕事なのだと感じている。
今日もたくさんの言葉を箱につめた一日だった。

投稿者 椎名 あつ子 : 12:57 

プロフィール

横浜心理ケアセンター

『横浜心理ケアセンター』

2000年から横浜市中区で開設しているカウンセリングルームです。
多種医療・弁護士などとの協力体制のもと、心理カウンセリングを行っています。
このブログでは、センターの代表である私が、一人の人間として、一人の女性として、またカウンセラーとして、日々の生活の中で感じた様々な出来事などをエッセイ風にみなさんにお伝えしていきたいと思います。

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