2024年05月アーカイブ
2024年05月29日
ゆとり時間
生の山椒の実を取り寄せました。
山椒の実は漢方薬にも使われる香辛料で
この実は独特の香りで青々しくその痺れる感覚が好きですが
消化を助けたり食欲を促したりするらしく
この時期、山椒を使った料理を作ることが疲れを癒やしてくれたりします。
実山椒の下ごしらえは簡単ですが、
綺麗な緑色の小さな実の小枝を一つ一つ丁寧に
手でちぎって取り除く作業はいつも、ウキウキします。
ひたすら小さな細い小枝を取り除く時間は
今の自分の気持ちのゆとりの有無を考えさせられます。
その後は何度も綺麗に洗い、沸騰したお湯でゆでた後は
何度もきれいな水でアクを取り、好みの辛さになるまで水につけて待ちます。
手をかけた小さな命を大切に育てるような感覚に陥ります。
この時間が私に何かを教えてくれます。
今回は京都で買ってきた白味噌で山椒味噌と
ちりめんを足してちりめん山椒の佃煮を作りました。
こんなささやかな時間が
とても優しくて
優雅で幸せで
私を満たしてくれました。
ゆとり時間とはこういうことなのかも知れないと
ふっと感じながら
鼻歌をうたっている自分がそこにはいました。
素敵な日でした。
2024年05月24日
導かれるとき
先週、神戸に娘の家族と出かけてきました。
神戸は昔、
娘が大学を出て
第一志望で就職できた会社で
最初に配属された場所でもありました。
それは娘にとっては、初めての一人暮らしで
知らない土地でのスタートでもありました。
私にとっても神戸は初めて訪れる場所でもあり
私と娘はわからないことだらけの中で
娘の部屋探しのため不動産巡りをしたり
家電や家具を揃えたり、スーパーや病院を探したりと
入社前に何度も神戸に足を運んでいた事を覚えています。
娘は行きたかった会社への憧れや夢も大きく
喜びと期待に溢れていましたが、
私はそんな娘に対しても不安や心配だらけで
今から思うと、私の初めての子離れの試練でもありました。
娘は自立に向けて羽ばたこうとしているのに
私は別れる時はいつも涙が止まらずにいました。
それからも
娘は仕事の忙しさと初めての一人暮らしの日々の生活、
そして何よりも関東と関西の言葉や風習や考え方の違いに疲れていましたが
責任感だけでどうにか乗り越えて頑張っていました。
三年半程が経ったお正月休暇で横浜に帰省した娘が
はじめて仕事のつらさについて話をしてくれました。
彼女は身長も高くスラリとした体型でしたが
その時見た姿は痩せ細っていてガリガリで
ワンピース姿からも背骨がわかる程になっていました。
私は…ゆっくりと娘に諭したことを覚えています。
「もう、十分がんばったんじゃない?
もう、いいんじゃない?
もう、帰っていらっしゃいな…」
その言葉を心から伝えることが、あの時、
親としての大事な責任であったように思いました。
すべてに限界があること
そして逃げ出すことは負けではなく
必要な時があること
そしてあきらめる勇気は偉大であること
ただ、そんな状況であっても
娘はまだ自分は大丈夫だし
まだ頑張れると思っていたのでした。
娘が横浜に戻ってくることを決めたのは
ある日、箱根神社の招福お守り入りのおみくじを引いて
透明な小さな袋の中に小さな金のカエルが入っていた時でした。
カエルの意味は福をむかえるとか
家にかえる、元にかえる、という意味がありました。
それを見て、はじめて彼女は我に返ったようで、
神戸での仕事を辞めて転職する流れになりました。
あれから10年以上の月日が経ち、
今は違う職種の会社で働きながら妻役と母役をしています。
大きな決断の時の相手に伝える言葉やそのタイミングなども含めて
人生って導かれているものなのだと思います。
あの時、箱根神社に導かれ
そして大きな決断を導かれたのですから。
神戸旅行で再び思い出した
運命を感じる出来事でもありました。
2024年05月14日
母の日
88歳の母に電話をしました。
母は私が贈ったザラメのついたカステラをとても喜んでいました。
「私は本当にしあわせよ」そんな母の言葉に安心しました。
それから少しありきたりの話をしていたら
「実はね」と母が悲しい声で
「昔からの友達に電話したら息子さんが電話に出て
先週彼女が突然亡くなったみたいなの。ショックで。。。
だから、今日の貴女からの電話には救われたわ」
母も自分の死について考えたのだろうと思いながらも
明るく、励ましながら電話を切りました。
母の日は
母や家族や愛する人たちに感謝して
みんな誰もが、母親から生れてくることを意識する日なのだろうなと
思いました。
そして、
命とは何だろう。
命の概念についても考えたりしました。
命とは全ての素になる物で
そこからの力や継続するエネルギーでもあり
生命は何にも変えられない、比べられない大きな意味を持つこと
母は私の素であり
私が生きている間は私の中に存在し続ける塊みたいなもの
永遠の命という物はないけれど
必ず終わりが来るけれども
それでも母は宇宙のように大きくて
そして果てしなく私の中に存在する
今年の母の日は命について考える日となりました。
2024年05月10日
旅
GWも終わり日常が戻ってきています。
私は、今回は少し長めのお休みを取り
バリ島へと出かけました。
バリ島は、15年程前に家族で出かけたことがありました。
当時は子どもたちも学生で
ホテルのプールで遊んだり、ビーチで砂だらけになってはしゃいだり
バリ舞踊のケチャを観に行ったり、バリの民芸品を買いに行ったりして
楽しい思い出でした。
今回は、
私のカウンセリンルームも開設してから
来年で25周年を迎えようとしている中で
プレ25周年記念という自分へのご褒美もあり
バリ島への旅を選択しました。
リゾート地の中にあるホテルの部屋は
当日、アップグレードしてもらえたこともあり
それはそれは、素晴らしすぎる所でした。
1階の部屋の目の前は広い庭のようなプールがあり
ベランダからそのまま水の中にはいれるという作りでした。
周りにはたくさんの椰子の木や
白い麻の布の天蓋が風でなびく小屋や
レストランに行くための小道があり
その敷地の中で時間を忘れて
ただひたすら、ゆっくりと過ごしました。
この期間は何故か旅行客も少なくてプールもほぼ貸し切りのような状況でした。
私は
青く、高い空を見上げたまま仰向けになって
全身の全ての力を抜いて
水の上に身を任せて
ただひたすら浮かんでいました。
今まで見たことのない世界がそこにはありました。
少しずつ重なりながら流れる白い雲が
まるで妖精たちのようであったり
背の高い木の緑色のたくさんの丸い実から
笑い声が聞こえてくるようであったり
太陽の光が強すぎて
光と水にさらって行かれそうに感じたり
私は一体どこにいるのか
私は一体誰なのか
これからどこに向かって行こうとしているのか
分からないことだらけで
現実と幻想の境目も分からなくなりそうで
でも、
そんなことはどうでも良くて
どうでもいいことばかりで
風はひたすらそれでも吹いているし
太陽はそれでも輝き続けていて
水は私にひたすら優しい
だから
きっと
これでいい
このままでいい
ありのままでいい
だから
きっと
だいじょうぶ
そう感じる空間と時間が
そこにはありました。
私の目的地が見えたようにおもえました。
それがたとえ幻でも
ちがっていたとしても
きっと
だいじょうぶ
そんな独りよがりの旅でした。
プロフィール
2000年から横浜市中区で開設しているカウンセリングルームです。
多種医療・弁護士などとの協力体制のもと、心理カウンセリングを行っています。
このブログでは、センターの代表である私が、一人の人間として、一人の女性として、またカウンセラーとして、日々の生活の中で感じた様々な出来事などをエッセイ風にみなさんにお伝えしていきたいと思います。
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