2023年03月アーカイブ

2023年03月28日

桜のような生き方

桜が満開となりました。

「枯れ木に花を咲かせましょう」は
花咲か爺さんの有名なセリフですが、
葉っぱもない枯れ木のような桜の木々に
突然ピンクの花が一斉に咲き乱れる様を見て、
作者はこの御伽話の着想を得たのではないかと
私は勝手に想像しています。

私の好きなハナミズキもそうですが、
通常目にする木々は
まず新芽が出て
葉が茂った後に花が咲くわけですが、
なぜ桜は葉が出る前に花が咲くのでしょうか。

調べてみると、
どうやら秋までに花を咲かせるエネルギーを蓄えて休眠して、
この時期を選んで咲くようです。

まだ他の花は少なく競争相手が少ない。
葉っぱに隠されないので花が目立つし、
葉っぱが邪魔にならないため受粉に必要な鳥が訪れやすいようです。

枯れ木に花、は
衰えたものが再び栄えるとか
奇跡を起こすといった使われ方もしますが、
桜にはそういった不思議な
人を魅了する魂のような力が
秘められているのだと思います。 

儚いイメージもある桜ですが
美しく咲く期間は短いけれど
花を咲かせるために
長い間エネルギーを溜めている事を知り
凛とした品のある力強さは、
その忍耐力からくるのだと心から感動しました。

人はどうしても努力の期間よりも
成功や幸せなど華やかな時が
長く続くことを夢見がちです。

「桜のような生き方」を
改めて考えながら、今年は桜を観たいと思います。

投稿者 椎名 あつ子 : 15:56 

2023年03月24日

おぼろ月夜

日が長くなって来ました。

季節、つまり春夏秋冬が生まれたのは、
月のおかげということを
最近ある本を読んで知りました。

その本によると、
地球に衝突した天体によって
地球の自転が傾いたおかげで
また衝突したときに飛び散ったカケラが
集まってできたのが月だそうです。

そして月の引力がなければ、
朝は夏、夜は冬というように
季節がころころと変わっていたかもしれず、
さらにそれまでの地球の自転速度は
一日8時間の猛スピードで暴風が常に吹いていたのが、
月の引力のおかげで一日の長さが24時間になったとか。
(佐治晴夫著「この星で生きる理由-過去は新しく、未来はなつかしく」)

もちろん全ては気が遠くなるぐらい遥か昔に起こったことです。

私たちは壮大な宇宙のメカニズムの中にいて、
宇宙の歴史でいえば0コンマ数秒にも満たない
ごく短い時間を生きているわけですね。

人にとっては春の訪れは多くても100回程度に限られますが、
宇宙の営みは変わらず続いていく。

この「永遠」の中に皆が生かされ、
次世代へとつながって行く永続性に
なにかしら安心感を覚えます。

宇宙について思いを馳せながら
朧月を探していたのですが、
朧(おぼろ)とは
月偏に龍となっていますが
龍というのははっきりしない様子を表す
擬態語という側面があるそうです。

そして朧月とは
春の夜のしっとりした空気の中で
様々なものがぼんやりと不確かにかすむ情景
でもあることなのだそうです。
(意味解説ノートより)

毎日、私たちが悩んだり苦しんだり
ストレスを感じたりの日々の様々な問題が
時に朧月のようにぼんやりと不確かにかすめて見れていけたら
それはそれで美しいことだなと
まだ少し肌寒い夜に月を見上げながら
ぼんやりと考えた日でもありました。

それにしても
おぼろ月夜…なんて素敵な日本語なのでしょう…。

投稿者 椎名 あつ子 : 13:19 

2023年03月22日

「なんで?」にご用心

はるか昔、ある人の上司は
「〇〇さん、□□をやってください」ではなく、
「〇〇さん、なんで□□をやらないんですか」
という言い方をするのが口癖で
「なんで…」が聞こえてくると
いつもその人は嫌な気分になっていました。

上司としては部下のその人に対する期待も高かったのでしょうが
多分に「なんでこんなこともやってないんだ」という
苛立ちも含まれていたように思います。

「なんで…」と言われた部下が
額面通り「それはこれこれで…」と説明しだすと
上司は火に油を注がれたように怒りだし
「あなたは前にも…」などと
過去の出来事が持ち出されたりして
さらに部下は凹んでしまうという
悪循環に陥ることも日常茶飯事でした。

「なんで」という言葉はくせ者で
上司の「なんで」は説明、
すなわち言い訳を求めているのではなく
この場合はむしろ
不満や怒りを表す「間投詞」に近いと言えます。

しかし、
もし上司が部下にある仕事をさせたいのであれば
「□□をすぐやってください」と肯定型で伝え、
もし部下の行動に足りないところがあれば
具体的に説明や指導をする方が
よほど仕事は円滑に進むはずです。

子供に勉強を教える時に
「なんでこんなこともわからないんだ!」 
「なんべん言ったらわかるんだ!」
などとやりだすと
子供は委縮して逆効果になってしまうのと似ています。

本当に説明を求める「なんで」ではなく、
苛立ちの「なんで」が口に出そうになったら
気を付けて、一呼吸置きましょう。

「なんで」の言葉が増えると会社などでは
それがパワハラと受け止められていったりしますので。

ただ夫婦関係などの身近な人間関係での場合は
苛立ちの「なんで…」と言われたら
説明や言い訳をする前に
相手のイライラした感情をまず受け止めて
きちんと謝る気持ちも大切なように思います。

コミュニケーションはその言葉じりだけをとらえても
わかり合えないことも多いようです。

言葉の使い方は本当に難しく悩むところですが

たしかに昔、
長嶋茂雄さんが「セコムしてますか?」
とCMで言っていましたが、
「なんでセコムしてないんですか?」
とは言わなかったですよね。

投稿者 椎名 あつ子 : 14:41 

2023年03月17日

過去の記憶

今年のNHKの大河ドラマは
「どうする家康」。

昨年は鎌倉時代の話でしたが、
大河ドラマで人気を博すのはやはり歴史もの。

なぜ人はこんなにも歴史の人物に興味を持つのでしょう。
例えば織田信長が本能寺の変で亡くなることも、
徳川家康が江戸幕府を開くことも周知の事実です。

つまり「オチ」がわかっているにもかかわらず、
人は毎回飽きずに歴史劇をドキドキしながら観るわけです。

もちろん演じる役者の魅力も大きいですし、
結末を知っているからこそ
「安心」して観られるのかもしれません。

しかし私たちを惹きつける大きな魅力は
脚本家や監督の独自の切り口や解釈、
「味付け」なのではないでしょうか。

例えば「どうする家康」では
大将軍の徳川家康を
迷い悩んで失敗を繰り返す人物像
として描いているようです。

3年前の「麒麟がくる」では
普段は悪役として見られがちな明智光秀が
ヒーロー役となって話題を呼びました。

史実はたしかにあるものの
過去にさかのぼって
実在の人物に会うことはできません。

時代考証の専門家の話や、本を読んだりしながらも
ドラマの人物像を練り上げるのは
今に生きる脚本家や監督であり
ある意味ではいくらでも人物の性格や考え方や行動などの
過去は作り変えられているとも言えます。

私たちの過去も同じように苦しかった時間や
絶望に近い感覚のトラウマも
違った光を当てれば、違った色に変わり、
一つの事実のとらえ方も
時が経てば
変化していくものなのかもしれません。

ただそれは相手から押しつけられたり
非難されるべき物ではなく
あくまでも自分の中で違った物へと
変化させたいという気持ちになれた場合で
時間がとてもかかる場合もあるとは思います。

自分の切り口一つで
そして、それは時と共に
嫌な経験と決めつけていたものが
良い思い出に変わることもあり得るのかもしれません。

過去の見方を変えることが
今をより良く生きるために役立つなら
自ら別の脚本を書いて違う作品にしてしまう。

それがカウンセリングで行う
認知行動療法の1つでもあるように思います。

そうすると、
悲劇が喜劇に変わる時が訪れる場合もあります。

それがまさに大河ドラマ「どうする家康」のように
あの大変な時代を喜劇の時代へと
変化させていくテクニックなのかもしれないと
毎週、日曜日は考えさせられる私なのでした…

投稿者 椎名 あつ子 : 17:24 

2023年03月14日

愛の言葉

バレンタインデー、そしてホワイトデーと
恋や愛情のメッセージを伝えるイベントが続きます。

愛の表現は様々ですが
私の好きなフランスのフレーズに
「aimer comme au premier jour 」があります。

「初めての日のように愛している」という意味ですが、
特に2008年、当時IMF(国際通貨基金)のトップだった
フランス人のドミニク・ストロスカーンが
部下と不適切な関係を持ったことが明るみに出た際、
奥さんのアンヌ・サンクレールが書いた文章を
締めくくった言葉として印象に残っています。

正確には
「私たちは初めて会った日のように愛し合っている」
と記したのですが、
不貞を働いた夫を毅然としてかばう
彼女の姿勢にも感心した記憶があります。

当時のストロスカーンは
大統領に近い男と言われるほどの人気を持つ政治家で
一方のサンクレールは誰もが知るスタージャーナリスト。

毎週日曜の政治家に対するテレビインタビューは
おそらく全てのフランス人が見ていたと思われるほどでした。
大富豪の家柄であり、ストロスカーンとの再婚を機にテレビを降り、
彼を全面的にサポートする役を選んでいたのでした。

しかし実は… 残念ながら3年後の2011年、
今度はアメリカでストロスカーンは
ホテルのメイドに対する暴行未遂で逮捕されます。

その時もサンクレールは当初彼を信じると言い切り、
数億円の保釈金を出すのですが、
彼は政治家としてのキャリアを失い
裁判が長引く中、結局二人は離婚してしまいます…。

フランスでは、恋人はもとより、
夫婦の間でも、常に愛の言葉をかけ合いますし
花を贈ったり、相手を惹きつけるための努力をします。
ですから愛の表現には事欠きません。

またサンクレールにはストロスカーンを大統領にする野望があり
敢えて全面的に彼を擁護し、
「歯の浮くような」愛の表現を使ったのだという人もいます。

しかし、魅力的な青い瞳が一途さを感じさせるサンクレールが、
そこで「初めて会った時と変わらない愛」
というみずみずしい言葉を使ったことは、
本当に愛する気持ちを表しているように思えます。

私はフランスがとにかく好きなので
つい、フランス式な愛の言葉に憧れてしまいます。

日本の感覚ではありえない言葉ではありますが
今日はホワイトデーでもあります。

ある意味、特別な日に勇気を持って
特別な言葉を愛する人(子どもや友達も含みます)へ
用意することも新鮮な思い出になるのでは??

いかがでしょうか。

投稿者 椎名 あつ子 : 16:35 

プロフィール

横浜心理ケアセンター

『横浜心理ケアセンター』

2000年から横浜市中区で開設しているカウンセリングルームです。
多種医療・弁護士などとの協力体制のもと、心理カウンセリングを行っています。
このブログでは、センターの代表である私が、一人の人間として、一人の女性として、またカウンセラーとして、日々の生活の中で感じた様々な出来事などをエッセイ風にみなさんにお伝えしていきたいと思います。

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