2008年12月アーカイブ

2008年12月04日

接吻

オーストリアの画家、
クリムトの「接吻」が、
生誕100周年だと、ある雑誌で知った。

私は、この絵が昔から好きで、
イタリアに住む友人の画家に、
何年か前に模写を描いてもらい、
今、事務所に飾ってある。

黄金のきらびやかな布をまとった
肌黒い男の姿は、優雅で力強い。
でも、顔は見えない。

花のモチーフの入った
金の布をまとった女は、
その男からの接吻を全身で受け止め、
女の白い肌は紅に染まり、
うっとりと目を閉じて、
美しい花畑の丘の上に
ひざまずいている。

こんな愛のドラマは、
この世にないから美しく、
そして永遠のテーマである気がしている。

私は、毎日、このクリムトの絵を
ながめながら、
いつの日からか、この男性が、
神様に見えてきていた。
神は、永遠のものであるはずだし、
そして、憧れの男性像でもあるから。

私は、神様に接吻を、
夢の中でも受けられる日がもしきたら、
そう、もしも…
そのときはきっと、
ひざまずいて、目を閉じて、
ゆったりと穏やかな時と、
最高の幸福感を感じ取るのだろうと想像し、
それはまさに、
ひとりで空想にひたるための
大切な時間を、
この絵は与えてくれている。

そう、人は夢を見る。
空想して、想像して、
現実から少しだけ逃避して生きる。
それができるときは、
自分に少しだけでも余裕があるとき。

私は、クリムトの「接吻」を
ゆっくりとながめられるときは、
私は大丈夫。と思える。

クリムトの絵は、
私の心のバイオリズムをはかるものの
ひとつなのかもしれないと、
生誕100周年の記事を読んで
改めて感じた日でもあった。

投稿者 椎名 あつ子 : 16:33 

プロフィール

横浜心理ケアセンター

『横浜心理ケアセンター』

2000年から横浜市中区で開設しているカウンセリングルームです。
多種医療・弁護士などとの協力体制のもと、心理カウンセリングを行っています。
このブログでは、センターの代表である私が、一人の人間として、一人の女性として、またカウンセラーとして、日々の生活の中で感じた様々な出来事などをエッセイ風にみなさんにお伝えしていきたいと思います。

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