2009年05月28日

限りなく透明に近い意ブルー

本棚に並ぶ数々の本の中で、
1冊の本が目に入る。
村上龍の「限りなく透明に近いブルー」。
彼は今57歳、
そしてこの本は、彼が美大在学中、
20歳のときに書き、
群像新人文学賞を受賞した作品だ。

確か、私が高校生の頃、読んだ記憶がある。
この本は、あの頃の私とっては強烈過ぎて、
セックス、ドラッグ、恋愛、喧嘩など、
知ってはいけないことばかりが
書かれていた。
親に内緒でこっそりと読んだのだと、
今は、思う。

確か、リュウが大好きだった女性、
リリーへの手紙が、
最後のページにあった。

会えなくなって、それでもずっと
リリーも会いたいと願っている、
作者本人の想いが綴られていて、
私はあの頃、

何故、リリーと会えなくなって、
連絡も取れないんだろう。
恋って切ないんだな。

とだけ、無邪気に感じていた。

あれから何十年もの月日が経ち、
私自身、親になる、
また、この年頃のクライアントを
みるようになり、
あの頃と今と何が違うのか、
それとも、本質は変わらないのか、
もう一度、読み始めたいと思った。
大人が理解できない、
乱れた、狂気に満ちた青春を、
どう若者は越えていくのか、
それは、今の村上龍を見れば、
何となく、安心する。
今の彼は、テレビのブラウン管からは、
穏やかな、そして表現力豊かな
いい大人に見える。

若い頃は凄まじくても、
その頃があるから、
だから、ちゃんと大人になっていく。

限りなく透明に近いブルーとは、
その頃の時代の若い人たちの
本来の心の色のように感じている。
黒く見えても、本当は、
夏の海のような
薄いブルーなのかもしれない。

いろんな事に反抗して、
人のせいにして、
自分もダメにして、
最後、やはり自分と向き合うべき時期。
青春は本来、そういうものなのかもしれない。

人によって、青春は、
時期が多少ずれていて、
世間から見れば十分に大人の年でも、
青春をちゃんと味わっていない子は、
後になって、反動がやってくる。
そんな彼らに対して、
色眼鏡で見るのはやめて、
大人である私たちは、
もう一度、彼らの本来の
「限りなく透明に近いブルー」
の心の色を理解したいと思っている。

壊れているのでもなく、
おかしくなったのでもなく、
残酷で優しさを知らないのでもなく、
自分本位だけなのでもなく、
本当は、美しい色を持っているのだと信じよう。
そして、それを見つけ出そう。
本質はきっと、
隠されているのだから。

投稿者 椎名 あつ子 : 21:08

プロフィール

横浜心理ケアセンター

『横浜心理ケアセンター』

2000年から横浜市中区で開設しているカウンセリングルームです。
多種医療・弁護士などとの協力体制のもと、心理カウンセリングを行っています。
このブログでは、センターの代表である私が、一人の人間として、一人の女性として、またカウンセラーとして、日々の生活の中で感じた様々な出来事などをエッセイ風にみなさんにお伝えしていきたいと思います。

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