2024年08月アーカイブ
2024年08月30日
夏の終わり「死ぬのがいいわ」
先日、藤井風さんのコンサートに行ってきました。
チケットをとるのも大変で
抽選に運良く当たり娘婿達と観ることができました。
私にとって初めての屋外ライブでは
暑さ対策や天気がとにかく心配で
大好きな藤井風さんに会えることもドキドキでしたが
実は
娘婿達に迷惑をかけずに無事コンサートを楽しめるか
そればかりが頭によぎっていて緊張をしていました。
でも
優しい婿がエスコートしてくれて何よりも幸せな時間を過ごせました。
藤井風さんの歌詞には何度も癒やされ勇気をもらっていて
何よりも生き方が楽になります。
そんなたくさんのすばらしい曲の中でも
私の大好きな歌があります。
「死ぬのがいいわ」
鏡よ鏡よ この世で1番
変わることのない 愛をくれるのはだれ
あたしの最後はあなたがいい
あなたとこのままおサラバするより
死ぬのがいいわ
死ぬのがいいわ
初めて聴いた時
全身の血液が溶けて流れ出す感覚に陥ったことを思い出します。
この歌詞の「あなた」の意味について語られた
言葉を読んだことがあります。
この歌は恋愛の歌ではなく
「あなた」とは
「自分の中にいる愛しい人
自分の中にいる最強の人にしがみつきたい」
「守りたい自分の中の大切な自分
それを忘れてしまっては死んでも同然」
(おとなカワイイwebマガジン編集部 文かんだがわのぞみ)
解釈は人それぞれであるとは思いますが、
このインタビューの文を読んで
尚更、胸の中が熱くなったのでした。
真っ赤に燃えるようなライトの中で
この歌を歌ってくれた藤井風さんは
艶めかしさの中にこれ以上ない命の力みたいな物を
私たちに教えてくれているように思いました。
死が在るから生を感じること
死があるから生きている事がすべてである
それを感じることも
守ることも自分であるということ
もっと自分を愛して しがみついて
もっともっと
大事にすること
この世で変わることなく愛してくれるのは自分
それでいい
それがいい
何万人という人の前で
全ての力を出し切って歌う藤井風さん自身が
疲れ果てることなく
自分を大事に
これからも歌い続けてくれることを
祈りながら
応援していきたいと思います。
夏の終わりに
素敵な思い出の時間をありがとうございました。
2024年08月22日
リノベーション
先日、NHKのプロフェッショナルという番組を観ました。
「見えない未来をみつめる勇気」というタイトルで
古くて価値のないものと思われる建物を
笑顔あふれる場所に変えるリノベーションのプロでもある
馬場正尊氏の生き方についてでした。
まだ見ない空間を想像し
新しい未来を探しながら過去の状態をよみがえらせる仕事。
その仕事の在り方を見ていて、
心から感動したのでした。
そして、私は
夫婦カウンセリングや家族カウンセリングの
日々の現場のことと重ねて
たくさんの事を感じた時間でもありました。
壊れかけた夫婦関係や
崩れかけている親子関係
長い間停滞している家族全体の関係
それは価値のないものではないけれど
古く汚れた傷だらけの形。
この関係を
古い建物がよみがえるように
新しい形に「リノベーション」する事ができたならば・・・
それをカウンセラーができるとは
とてもおこがましいい話だけれど
新しいよみがえりの風景や
笑顔のある場所に変わる未来に
「見えない未来を見つめる勇気」を
持つことが変わっていくための一歩なのだと
思えたのでした。
それぞれの形や価値観や個性は残したまま
その事を活かしながら
新しい形を創ること
それはその人の歴史であったり
考え方であったり
癖であったりするけれど
その事を否定するのではなく
新たに何かを足して、加えて
人生を一変させることは可能なのかもしれない。
そこに至るまでの道のりは
穏やかなことばかりではないけれど
苦しいことも多くて
認めてもらえないことや
受け入れてもらえないことも在るけれど
馬場氏が団地のコンクリートの高い塀をこわして
そこに芝生の空間を作ったことで
今はたくさんの人たちの憩いの場所としてよみがえったように
人間関係の中にもリノベーションはあるのではないかなと
それは理想なのかもしれないし
根拠のない自信のような物かもしれないけれど
だけど
私はたくさんの笑顔になった人たちを知っているし
その人たちの生き様も見てきていて
まさにそれは奇跡のような新しい家族の形であったはずだと
それは確かな真実であったと
あらためて思い出したのでした。
リノベーション
その素敵なあたたかな言葉が
まさに、
天から降りてきたように感じた
そんな日でもありました。
2024年08月14日
「あきらめないでね」
ここ最近、カウンセリングをしていて
強く感じたこと。
それは人間関係の大きな変化について。
これはコロナウイルス感染のパンデミック後の
社会全体の様々な在り方が
個人のライフスタイルにも
深く影響しているのかもしれないし
仕事、そして家族や友人とも
ある日突然、大切な関わりが制限されたあの時から
コミュニケーションの方法が大きく変わってしまったのかもしれないけれど。
夫婦、親子、仕事、友人との会話が
とても合理的というか
短く簡単になり
希薄でもあり
その結果、
お互いが
わからないまま
伝えきれないまま
理解できないまま
誤解や不信感や疑惑などがうまれてきて
思い込みや
諦めが強くなってしまっているみたい
相手を想うよりも
相手を気遣うよりも
自分を守ること
自分を正当化すること
自分が傷つかないことが優先になってしまっていて
夫婦でも親子でもその他の人間関係でも
深く関われない
深く関わることが怖くなっている
深く関わらなければ傷つかないし
嫌なことを知らないで済むし
分からないままでいた方が平和かもしれない
でも
「それでは
このままではだめだよね」
と
みんな頭でも心でも分かっているけど
どういう言葉で接したらいいのか
分からない
見つからない
そんな
暗い深海のような
不気味な不安の中で
息を潜めてみんな生きている
それがたくさんの人たちの現実。
みんな、みんな
不安と恐怖と寂しさと孤独を抱えて生きている。
だけどみんな
本当は
理解されたいし、認めて欲しいし、
愛されたいし
人を愛することも
あきらめたくないのだということは
自分では分かっているのに・・・
それは、まるで
レントゲンではどこにあるか見えないけれど
心はきっと身体のどこかにあると
誰もが信じているように
誰もが愛はどこかにあると信じたいし
それは
誰もが祈る気持ちで求めていることだと思う
求め続けていれば
探し続けていけば
考え続けていれば
いつかきっと
自分の欲しかった愛の答えが見つかるはずだと
だから
(あきらめないでね)
それは
私が私の中で伝えたかった
ある日のカウンセリングの時間でした。
2024年08月02日
ドライマティーニの思い出
先日、久しぶりにランチビュッフェに行きました。
この日一緒に過ごしてくれた人は
昔、私のところで働いてくれていたスタッフでした。
コロナ禍になる前にお会いしてから久しぶりの再会でした。
考えてみれば
最初に私の事務所に彼女が来てくれたのは
今から20年前で
私もあの頃は今の彼女と同じ年齢でした。
当時、大学院を卒業したばかりの彼女は
はつらつとしていて、勉強熱心で
何事にも真っ直ぐに行動する人だったことを思い出しました。
あの頃の私は、
カウンセリングルーム設立5年ほどで
経営者としてと、カウンセラーとしての両立が
まだまだ未熟でもあり
これからのカウンセリングの在り方などの展望が強くありすぎる中で
目標と現実の経営との狭間で苦しんでいたことを思い出します。
描いていた理想の精神医療におけるカウンセリングの立ち位置が
思っていたことと大きく違っていて
自分の弱さや、立場の低さや、誠実さと正義の意味の儚さなどが
重く押しかかっていて
苦しくて何度も涙を流していた時期でもありました。
また、子どもがまだ小さく
二人の子どもを抱えながらの状況は
今思うと、母としても不十分であったと思います。
彼女もまた今3人のお子さんのお母さんをやりながら
企業の中のカウンセラーとして活躍していて
現実の生活に追われながらも
必死に自分と向き合っていました。
「こんな素敵な場所で大人のランチ時間を過ごすのは本当に久しぶりです」
その言葉を聞いて
この日にホテルのビュッフェにして良かったと思えたのでした。
素敵な大人の女性になった彼女を見つめながら
20年前の私自身の行動をたくさん反省したり懐かしく感じたり
いろいろな思いが
怒濤のように押し寄せてきました。
そして彼女だけではなく
他のスタッフにも
どれだけ助けられてきたのかを改めて思い出したのでした。
美味しい食事と一緒に
久しぶりに昼からワインも飲みながら
今のお互いの仕事についてたくさん話もしました。
20年前のカウンセリングと現在のカウンセリングの仕方の違いや
クライアントの傾向の違いや
欧米と比べて日本の精神医療の遅れについてや
企業においての精神医療の受け止め方や
カウンセラーの今後のあるべき姿や
そして
今後の自分達の希望について・・・
20年ほど経っても
今も時々こうして忙しい中でも
時間を取って会いに来てくれる彼女に対して
カウンセラー同士として
様々な議題を話すことで
年齢の差がありながらも
たくさんの刺激と
貴重な学びを与えてもらえたことに
心から喜びと感謝を感じた時間でもありました。
次回は、
「お子さんを御主人に預けることができたら
大人の時間を夕飯を食べながら過ごせたらいいですね」
彼女は笑いながらいいました。
「是非、行きたいです。
でも私、もうドライマティーニは飲めないかもです」
そういえば、
昔は二人でよく飲みに行って
ドライマティーニを何杯も飲みました。
それもまた、懐かしく美しい思い出だったと
あの時代を振り返りながら
彼女と別れた後も
頭の中であの頃よく行ったバーのジャズの曲がいつまでも鳴り響いていました。
真夏の太陽の光を
とても力強く感じた日でもありました。
プロフィール
2000年から横浜市中区で開設しているカウンセリングルームです。
多種医療・弁護士などとの協力体制のもと、心理カウンセリングを行っています。
このブログでは、センターの代表である私が、一人の人間として、一人の女性として、またカウンセラーとして、日々の生活の中で感じた様々な出来事などをエッセイ風にみなさんにお伝えしていきたいと思います。
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