2024年08月02日

ドライマティーニの思い出

先日、久しぶりにランチビュッフェに行きました。

この日一緒に過ごしてくれた人は
昔、私のところで働いてくれていたスタッフでした。

コロナ禍になる前にお会いしてから久しぶりの再会でした。

考えてみれば
最初に私の事務所に彼女が来てくれたのは
今から20年前で
私もあの頃は今の彼女と同じ年齢でした。

当時、大学院を卒業したばかりの彼女は
はつらつとしていて、勉強熱心で
何事にも真っ直ぐに行動する人だったことを思い出しました。

あの頃の私は、
カウンセリングルーム設立5年ほどで
経営者としてと、カウンセラーとしての両立が
まだまだ未熟でもあり
これからのカウンセリングの在り方などの展望が強くありすぎる中で
目標と現実の経営との狭間で苦しんでいたことを思い出します。

描いていた理想の精神医療におけるカウンセリングの立ち位置が
思っていたことと大きく違っていて
自分の弱さや、立場の低さや、誠実さと正義の意味の儚さなどが
重く押しかかっていて
苦しくて何度も涙を流していた時期でもありました。

また、子どもがまだ小さく
二人の子どもを抱えながらの状況は
今思うと、母としても不十分であったと思います。

彼女もまた今3人のお子さんのお母さんをやりながら
企業の中のカウンセラーとして活躍していて
現実の生活に追われながらも
必死に自分と向き合っていました。

「こんな素敵な場所で大人のランチ時間を過ごすのは本当に久しぶりです」
その言葉を聞いて
この日にホテルのビュッフェにして良かったと思えたのでした。

素敵な大人の女性になった彼女を見つめながら
20年前の私自身の行動をたくさん反省したり懐かしく感じたり
いろいろな思いが
怒濤のように押し寄せてきました。
そして彼女だけではなく
他のスタッフにも
どれだけ助けられてきたのかを改めて思い出したのでした。

美味しい食事と一緒に
久しぶりに昼からワインも飲みながら
今のお互いの仕事についてたくさん話もしました。

20年前のカウンセリングと現在のカウンセリングの仕方の違いや
クライアントの傾向の違いや
欧米と比べて日本の精神医療の遅れについてや
企業においての精神医療の受け止め方や
カウンセラーの今後のあるべき姿や
そして
今後の自分達の希望について・・・

20年ほど経っても
今も時々こうして忙しい中でも
時間を取って会いに来てくれる彼女に対して

カウンセラー同士として
様々な議題を話すことで
年齢の差がありながらも
たくさんの刺激と
貴重な学びを与えてもらえたことに
心から喜びと感謝を感じた時間でもありました。

次回は、
「お子さんを御主人に預けることができたら
大人の時間を夕飯を食べながら過ごせたらいいですね」

彼女は笑いながらいいました。

「是非、行きたいです。
でも私、もうドライマティーニは飲めないかもです」

そういえば、
昔は二人でよく飲みに行って
ドライマティーニを何杯も飲みました。

それもまた、懐かしく美しい思い出だったと
あの時代を振り返りながら
彼女と別れた後も
頭の中であの頃よく行ったバーのジャズの曲がいつまでも鳴り響いていました。

真夏の太陽の光を
とても力強く感じた日でもありました。

投稿者 椎名 あつ子 : 16:17

プロフィール

横浜心理ケアセンター

『横浜心理ケアセンター』

2000年から横浜市中区で開設しているカウンセリングルームです。
多種医療・弁護士などとの協力体制のもと、心理カウンセリングを行っています。
このブログでは、センターの代表である私が、一人の人間として、一人の女性として、またカウンセラーとして、日々の生活の中で感じた様々な出来事などをエッセイ風にみなさんにお伝えしていきたいと思います。

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