2024年10月アーカイブ

2024年10月04日

長月(ながつき)

京都に出かけてきました。

いつも必ず行く日本料理・懐石屋さんの
今月の献立のお題は
「長月」お月見

長月は旧暦の9月のことらしく
「夜が長くなる月」という意味から来ているそうです。

京都ならではの繊細な食材と
店主の心の在り方が
追求し探求し
料理を通して貢献するという
人間の高みを感じさせる作品でもあり
ここは私の心の居場所の一つでもあります。

そして
また、もう一つ心の居場所が京都にはあります。

そこは、先斗町にあるバーで
9月末まで鴨川を見下ろせる川床があり
地元の人にも観光客にも愛されているお店です。

今回は、そのお店の店長さんが9月末にお辞めになることを知り
お別れのご挨拶をどうしてもしたくて
京都に出向きました。

店長さんとは10年ほど前からの知り合いで
年二回の京都旅行の度に必ず立ち寄っていました。

今年、3月に行ったときに
店長さんから
「9月末で卒業します」
と聞いていたので
今回はその日に合わせて行ってきました。

彼は、私の為にいつものカウンターの席を用意して下さっていました。

今後は、ご実家のある地元でお店を開く予定であることを知り
その新しい場所でまた会いましょうと
初めてお互いの連絡先を教え合ったりしました。

今まで、プライベートの事などはいっさい話したことがなく
ただ、年に二回ほど横浜から京都に遊びに来る客がいるという
それだけの関係でした。

それでも、
京都に行くことを一応連絡すると
必ずといっていいほどいつもの
その席を用意して待っていてくださっていました。

食事の後にバーに立ち寄ってホテルに帰る
そんなささやかな時間でも
10年も続き
それはいつしか大切な場所で大切な人となっていました。

それなのに

今年の川床の時期が最後という日に
そのつながりが、これで終わりという日となりました。

それも考えてみれば
人生の中では
当たり前の流れでもあるのに

とてもとても寂しくて
その日は鴨川の景色や匂いや風が
まさに秋の切なさと一緒になりました。

別れは必ず訪れる事など
この年になると何度も経験していますが
それでも、

かっこいい別れ上手な大人にはなれずに

きっといつか地元のお店で会えて
私の居場所がひとつ増えるのかも知れないと

儚い夢と希望かも知れないと感じながらも
約束をしたのでした。

「また、会いましょうね。新しいお店で」

そんな
約束があってもいいと
そんなつながりを信じてもいいと

今も私は感じています。

その日は本当に「長月」の夜となりました。

秋は、私に切なさと寂しさと美しすぎる月の光のような
思い出をあたえてくれました。

長い間ありがとうございました。
Tさん、又ね。

投稿者 椎名 あつ子 : 13:15 

プロフィール

横浜心理ケアセンター

『横浜心理ケアセンター』

2000年から横浜市中区で開設しているカウンセリングルームです。
多種医療・弁護士などとの協力体制のもと、心理カウンセリングを行っています。
このブログでは、センターの代表である私が、一人の人間として、一人の女性として、またカウンセラーとして、日々の生活の中で感じた様々な出来事などをエッセイ風にみなさんにお伝えしていきたいと思います。

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