2025年07月29日

「国宝」

映画「国宝」を観てきました。

沢山の人が素晴らしかったと話しているのを聞いていて
観に行きたいと思いつつもやっと実現できました。

実はこの映画を見に行くまでの期間に
板東玉三郎さんのドキュメンタリー「書かれた顔」(1995年・監督ダニエル・シュミット)をアマゾンプライムで観ていました。
この二つを照らし合わせることで深く学べたことがありました。

人が芸に生きるということの運命とそしてその代償、
また人間の裏と表の仮面を持ちながらの存在の意味でした。

「書かれた顔」から知ることができたのは
坂東玉三郎さんが女という性を演じる事は

「顔」を伝統や記憶の形として「書かれて」いく中で
次第にそれが女の人生そのものになっていく

その現実と幻想の狭間のような姿に私たちは魅せられていく・・・

このドキュメンタリーはそんな状況を
メランコリックにそして詩的に描いています。

玉三郎さん自身が語る言葉があります。
「舞台の上で私は「女性」ではなく
女性という幻想を持ちながら演じている存在」

このことを語るときの玉三郎さんは
女性を演じる上での男性としての苦悩や繊細さ、そして覚悟を
秘めているように感じました。

また、「国宝」でも
個人を超えた芸人としての伝承や幻想などを
演じていく事は苦しい修行であるということ。

それと同時に自分という個を消していくという
運命のような、怖くもある孤独感が描かれていました。
そういった人生そのものが
観ていて吸い込まれるような美しさとなって行くのだと思いました。
そしてこの二つの映画を観て思ったことは

芸人だけではなく
人は誰にも
守るべき「型」や「仮面」があり
そしてそこには
どうしようもない「運命」のような人生があるのだと

久しぶりに深い何かに触れられた気がしました。

投稿者 椎名 あつ子 : 14:30

プロフィール

横浜心理ケアセンター

『横浜心理ケアセンター』

2000年から横浜市中区で開設しているカウンセリングルームです。
多種医療・弁護士などとの協力体制のもと、心理カウンセリングを行っています。
このブログでは、センターの代表である私が、一人の人間として、一人の女性として、またカウンセラーとして、日々の生活の中で感じた様々な出来事などをエッセイ風にみなさんにお伝えしていきたいと思います。

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