2026年01月アーカイブ

2026年01月14日

久米宏さんの訃報に触れて

――「語りかける声」が心に残すもの――

久米宏さんが亡くなられたという知らせに、胸が静かに揺れた方も多いのではないでしょうか。

長い時間、テレビやラジオを通して私たちの生活のそばにあった声は、
いつの間にか「当たり前の存在」になっていたように感じます。
私も、当時、久米さんの番組を通してニュースが身近な物になったことを想い出しました。
その存在を失ったとき、人は初めて、
どれほど心に影響を受けていたかに気づくことがあるのだと考えさせられました。

久米さんの語りには、情報を伝える以上のものがあったように感じます。
鋭さの中にユーモアがあり、距離を保ちながらも、どこか人間らしい温度がありました。
それは、正解を押しつける声ではなく、「あなたはどう感じますか」と問いかけてくるような声だったのかもしれません。

カウンセリングの場でも、私たちは「何を言うか」以上に、
「どのように語りかけるか」を大切にします。
人は、言葉の内容だけでなく、声の調子、間の取り方、そこに込められた姿勢を感じ取っています。
久米さんの語りが多くの人の記憶に残っているのは、
そうした“人としての在り方”が、無意識のうちに伝わっていたからなのだとあらためて感じました。

私たちは訃報に触れたとき悲しみや寂しさだけではなく

「自分はこの人から何を受け取っていたのだろう」
「どんな時間を共にしてきたのだろう」
と振り返ることは、心にとって自然で大切なプロセスだと思います。

大切な存在を失うとき、人はすぐに前向きには当然なれない物だと思います。

思い出し、立ち止まり、静かに感じる時間そのものが、心を整える助けになります。

時にその人を思い出して、
苦しくなったり、
後悔したり、
嫌なことを想い出したり、
その当時の時間が決してなつかしく、美しい思い出ではない場合もあると思います。

それでもその人が自分に与えた影響を感じると共に
亡くなられたその方自身の精一杯の生き方を
理解して、受け止めたときにその人の心根が自分の中に深く刻まれることとなるように感じました。

カウンセリングの中でも沢山の「尊い死」の喪失と向き合うことがありました。
そしてその避けては通れない心の様々な葛藤をどうやって自分の中で消化していけばいいのかを
あらためて考えさせられた時間でもありました。

久米宏さんが残してくれた“語りかける姿勢”は、今も多くの人の心の中で生き続けているように思います。

心よりご冥福をお祈りいたします。

投稿者 椎名 あつ子 : 16:07 

プロフィール

横浜心理ケアセンター

『横浜心理ケアセンター』

2000年から横浜市中区で開設しているカウンセリングルームです。
多種医療・弁護士などとの協力体制のもと、心理カウンセリングを行っています。
このブログでは、センターの代表である私が、一人の人間として、一人の女性として、またカウンセラーとして、日々の生活の中で感じた様々な出来事などをエッセイ風にみなさんにお伝えしていきたいと思います。

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