2025年10月17日

諦めることと解放されること

夫婦カウンセリングや親子カウンセリングをしている中で
ここ数年、シニア層の方々がいらして下さることが多くなっています。

子供ども達も成人になり、就職されたり結婚されたり
また、仕事でも定年間近になっていたり、また、定年を迎えられていたりという中で
また新たなステージを迎えられている人たちがいます。

そういった中で
若い時に思い描いていた将来の計画や希望や夢が
幻想のように思えて
理想との大きなギャップに戸惑ったり混乱したり絶望したり哀しくなったりします。

夫婦の形や、親子の形やまた、自分のこれからの生き方に疑問を感じながらも
諦めることが増えて行く時でもあります。

このことは、シニア層の沢山の方々が感じていることであるように思います。

シニアとしての生き方は、
単に年を取ってからの暮らし方ではなく
これからの人生をどう生きるかを考えるステージなのだと実感します。
家族や仕事の中心から少し離れて
やっと自分について考える事ができるようになって来た事なのかもしれません。

子どもとの関わりも「支える側」から「見守る側」へ
仕事も「成果」よりも「意味やつながり」へ
と変化していくのかもしれません。

ただ正直、健康面や体力面を考えると
失っていくことが多く思えて「諦め」に近い感情を持つことも
普通だと思います。

私も、この世代で生きていて苦しくなることが沢山あります。

先日、ある人が教えてくれたことがあります。

「「諦める」の語源は「明らかにする」であり
仏教では物事の真理や道理を「明らかにする」事で
現状を受け入れて執着しない境地に至ることを意味すること。
「明らかにすること」(諦観)を重視して
苦悩の原因を理解し、執着を断ち切ると説かれています。
つまり現状を偏見や思い込みではなく
「あるがままを」に受け入れて冷静に本質を見極めること。
今抱えている事は執着や思い込みのことが多いので
そこから解放されることで新たな選択が生れる・・・」

こんな言葉を、教えて下さりました。

なるほどな。
と考えさせられた言葉でもありました。

「解放する」
このことには大きな覚悟と決断も必要で、
この年になってもまだまだ、「修行の時」のようです。

生きていく事って
やはり大変なんだなと痛感したのでした。

だから、生きていくことには果てしない意味があるのかもしれない

そんな事を、最近感じました。

投稿者 椎名 あつ子 : 15:12

プロフィール

横浜心理ケアセンター

『横浜心理ケアセンター』

2000年から横浜市中区で開設しているカウンセリングルームです。
多種医療・弁護士などとの協力体制のもと、心理カウンセリングを行っています。
このブログでは、センターの代表である私が、一人の人間として、一人の女性として、またカウンセラーとして、日々の生活の中で感じた様々な出来事などをエッセイ風にみなさんにお伝えしていきたいと思います。

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