2013年06月12日

テリトリーとは

男と女の話。

その女性は、1年以上ぶりに、
あるバーに友達とふらっと寄った。
食後のお酒を、少し飲みたくて。
雨が降っている夜だった。

そこには、昔つきあっていた男が、
やはり友達と飲んでいた。

「お久しぶりね。元気そうね」

彼女は、けんか別れのままになっていた人との
思いがけない再会に、美しさを感じた。

男は1時間後、
ひとりで笑顔で帰って行った。

まるでフランス映画みたい。
ドラマティックな夜だわと、
友達と一緒に、
その後ももう一杯お酒を飲んで、
彼女は帰っていった。

しかし次の日、その男から彼女に、
「僕のテリトリーには来ないでくれ」
と電話があった。

彼女は本当にびっくりして、
そして別れた男の情けなさに、
その人との昔の時間を後悔した。

よくある男と女の話かもしれないけれど、
その話を聞いて、テリトリーについて
考えさせられた。

人にはそれぞれ、大切なテリトリーがある。
夫婦にも、親子にも、そして男と女にも。

2つの円と円を少し重ね合わせると、
2つの円が重なった中心にもうひとつ円ができる。
その中心の円は、お互いの共通の
大切にするべき時間。
これは、大きいほど、素敵な関係。

でも、左右の三ケ月に似た空間は、
それぞれの大切なテリトリー。
相手に見せなくてもいいし、
あえて見ようとしない方がいいものであると思う。

夫婦や親子や、男と女のカウンセリングをしていると、
この三ケ月の形の部分をお互いが干渉したり、
見ようとしたり、壊そうとすることで、
起きてくる問題が多いことに気付く。

ただ、そのバーでの話は、
女にとってはドラマティックなことが、
男にとってはヒステリックになった
話なのかもしれない。

そしてまた、思ったこと。
素敵なはずのお互いのテリトリーは、
どちらかに何か隠し事や、後ろめたいことがあると、
防御となり、つまらない空間になってしまう。

その男は、彼女に見せたくなかった何かが
あったのかも…しれない。

テリトリーという言葉は、
本来、お互いの尊重すべき空間として、
成り立つ言葉だと思った。
尊重や尊敬がない場合、
それは、ただの秘め事となる。

勉強になった男と女の話だった。

投稿者 椎名 あつ子 : 18:40

プロフィール

横浜心理ケアセンター

『横浜心理ケアセンター』

2000年から横浜市中区で開設しているカウンセリングルームです。
多種医療・弁護士などとの協力体制のもと、心理カウンセリングを行っています。
このブログでは、センターの代表である私が、一人の人間として、一人の女性として、またカウンセラーとして、日々の生活の中で感じた様々な出来事などをエッセイ風にみなさんにお伝えしていきたいと思います。

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