2023年03月22日

「なんで?」にご用心

はるか昔、ある人の上司は
「〇〇さん、□□をやってください」ではなく、
「〇〇さん、なんで□□をやらないんですか」
という言い方をするのが口癖で
「なんで…」が聞こえてくると
いつもその人は嫌な気分になっていました。

上司としては部下のその人に対する期待も高かったのでしょうが
多分に「なんでこんなこともやってないんだ」という
苛立ちも含まれていたように思います。

「なんで…」と言われた部下が
額面通り「それはこれこれで…」と説明しだすと
上司は火に油を注がれたように怒りだし
「あなたは前にも…」などと
過去の出来事が持ち出されたりして
さらに部下は凹んでしまうという
悪循環に陥ることも日常茶飯事でした。

「なんで」という言葉はくせ者で
上司の「なんで」は説明、
すなわち言い訳を求めているのではなく
この場合はむしろ
不満や怒りを表す「間投詞」に近いと言えます。

しかし、
もし上司が部下にある仕事をさせたいのであれば
「□□をすぐやってください」と肯定型で伝え、
もし部下の行動に足りないところがあれば
具体的に説明や指導をする方が
よほど仕事は円滑に進むはずです。

子供に勉強を教える時に
「なんでこんなこともわからないんだ!」 
「なんべん言ったらわかるんだ!」
などとやりだすと
子供は委縮して逆効果になってしまうのと似ています。

本当に説明を求める「なんで」ではなく、
苛立ちの「なんで」が口に出そうになったら
気を付けて、一呼吸置きましょう。

「なんで」の言葉が増えると会社などでは
それがパワハラと受け止められていったりしますので。

ただ夫婦関係などの身近な人間関係での場合は
苛立ちの「なんで…」と言われたら
説明や言い訳をする前に
相手のイライラした感情をまず受け止めて
きちんと謝る気持ちも大切なように思います。

コミュニケーションはその言葉じりだけをとらえても
わかり合えないことも多いようです。

言葉の使い方は本当に難しく悩むところですが

たしかに昔、
長嶋茂雄さんが「セコムしてますか?」
とCMで言っていましたが、
「なんでセコムしてないんですか?」
とは言わなかったですよね。

投稿者 椎名 あつ子 : 14:41

プロフィール

横浜心理ケアセンター

『横浜心理ケアセンター』

2000年から横浜市中区で開設しているカウンセリングルームです。
多種医療・弁護士などとの協力体制のもと、心理カウンセリングを行っています。
このブログでは、センターの代表である私が、一人の人間として、一人の女性として、またカウンセラーとして、日々の生活の中で感じた様々な出来事などをエッセイ風にみなさんにお伝えしていきたいと思います。

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