2007年07月27日

平等

障害を持つ子どもの母親と、
障害を持つ子どもの
兄弟である若い女性。
その母親と若い女性の
親子の関係の話。

母親は、障害者である子どもと、
健常者の子ども、
2人に変わらない愛情を
平等に与えてきた。
母親は、2人を健常者と思い、
差別なく育ててきた。

でも、障害を持つその子は、
時に大きな体を持て余すかのように、
家の中で叫び続け、走り続け、
どんな時も一緒にいることを
強制する。

妹である彼女は、
一人暮らしをしながらも、
週末はその家に戻ってくる。
母のために。
その障害を持つ兄弟のために。

母は心から、彼女に説明する。

「あなたは気にしなくていいのよ。
自由に生きていいのよ。」

彼女は、昔も今も、
何も変わらない環境に不安を感じ、
将来に絶望し、
健常者と変わらない接し方を
その障害の子に対してしている母親に
怒りを感じながらも、
自分だけがその兄弟に
差別意識を持っていると、
罪悪感を感じ、苦しみ、悩む。

母が死んだら、
誰がこの子をみるのだろう。
私しかいない。
でも、自由にしていいと
説明されている。

この、どこまでいっても平行線の
環境と考え方に、
何かしらの答を求める。

母親の苦しみと、いたわりの愛情。
彼女の苦しみと、いたわりの愛情。

どちらも同じなのに、
この2人の間には、
その障害の子に対して、
親の立場と兄弟の立場といった
大きな壁がある。

親としての責任と、
兄弟としての将来の責任。
どちらが重い責任なのだろうか。

国は、こういった2人の運命に対して、
何を与えてくれるのだろうか。
受け止めなくてはいけない現実に対して、
誰が何をしてくれるのだろうか。
そしてまた、その障害者である
その本人の苦しみに対しては、
どうなのだろうか。

平等という言葉の重さを
感じずにはいられなかった。

果たして、本当に、
平等はあるのだろうか。
同じことが、本当に平等なのか。

そんなことが、ぐるぐると、
頭の中で回り続ける。

そんな日だった。

投稿者 椎名 あつ子 : 18:06

プロフィール

横浜心理ケアセンター

『横浜心理ケアセンター』

2000年から横浜市中区で開設しているカウンセリングルームです。
多種医療・弁護士などとの協力体制のもと、心理カウンセリングを行っています。
このブログでは、センターの代表である私が、一人の人間として、一人の女性として、またカウンセラーとして、日々の生活の中で感じた様々な出来事などをエッセイ風にみなさんにお伝えしていきたいと思います。

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