2024年05月24日

導かれるとき

先週、神戸に娘の家族と出かけてきました。

神戸は昔、
娘が大学を出て
第一志望で就職できた会社で
最初に配属された場所でもありました。

それは娘にとっては、初めての一人暮らしで
知らない土地でのスタートでもありました。

私にとっても神戸は初めて訪れる場所でもあり
私と娘はわからないことだらけの中で
娘の部屋探しのため不動産巡りをしたり
家電や家具を揃えたり、スーパーや病院を探したりと
入社前に何度も神戸に足を運んでいた事を覚えています。

娘は行きたかった会社への憧れや夢も大きく
喜びと期待に溢れていましたが、
私はそんな娘に対しても不安や心配だらけで
今から思うと、私の初めての子離れの試練でもありました。

娘は自立に向けて羽ばたこうとしているのに
私は別れる時はいつも涙が止まらずにいました。

それからも
娘は仕事の忙しさと初めての一人暮らしの日々の生活、
そして何よりも関東と関西の言葉や風習や考え方の違いに疲れていましたが
責任感だけでどうにか乗り越えて頑張っていました。

三年半程が経ったお正月休暇で横浜に帰省した娘が
はじめて仕事のつらさについて話をしてくれました。

彼女は身長も高くスラリとした体型でしたが
その時見た姿は痩せ細っていてガリガリで
ワンピース姿からも背骨がわかる程になっていました。

私は…ゆっくりと娘に諭したことを覚えています。

「もう、十分がんばったんじゃない?
 もう、いいんじゃない?
 もう、帰っていらっしゃいな…」

その言葉を心から伝えることが、あの時、
親としての大事な責任であったように思いました。

すべてに限界があること
そして逃げ出すことは負けではなく
必要な時があること
そしてあきらめる勇気は偉大であること

ただ、そんな状況であっても
娘はまだ自分は大丈夫だし
まだ頑張れると思っていたのでした。

娘が横浜に戻ってくることを決めたのは
ある日、箱根神社の招福お守り入りのおみくじを引いて
透明な小さな袋の中に小さな金のカエルが入っていた時でした。

カエルの意味は福をむかえるとか
家にかえる、元にかえる、という意味がありました。

それを見て、はじめて彼女は我に返ったようで、
神戸での仕事を辞めて転職する流れになりました。

あれから10年以上の月日が経ち、
今は違う職種の会社で働きながら妻役と母役をしています。

大きな決断の時の相手に伝える言葉やそのタイミングなども含めて
人生って導かれているものなのだと思います。

あの時、箱根神社に導かれ
そして大きな決断を導かれたのですから。

神戸旅行で再び思い出した
運命を感じる出来事でもありました。

投稿者 椎名 あつ子 : 13:21

プロフィール

横浜心理ケアセンター

『横浜心理ケアセンター』

2000年から横浜市中区で開設しているカウンセリングルームです。
多種医療・弁護士などとの協力体制のもと、心理カウンセリングを行っています。
このブログでは、センターの代表である私が、一人の人間として、一人の女性として、またカウンセラーとして、日々の生活の中で感じた様々な出来事などをエッセイ風にみなさんにお伝えしていきたいと思います。

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