2012年02月アーカイブ

2012年02月14日

親離れ子離れ

4月から、上の娘が新入社員として働き始める。
配属先はまだ分かっていない。
2月下旬頃からの決定となり、
そこから引越しなど、
新しい環境への支度が始まる。

今年に入ってから、
初めてのひとり暮らしの練習として、
料理を教え始めた。
仕事から帰ってきて、簡単に作れる料理を中心に、
メニューを決め、週2~3品のペースで
こなしている。
それぞれの料理に合わせた野菜の切り方、
味付けの感覚など、
料理本を見なくても、
何となくあるもので作れる状況にまで
進めていくことは、
思った以上に、教える側も大変な作業であり、
教わる娘の方もぐったりしてくる。

ただ、作り上げた料理を、

「上手、上手、美味しいよ。大丈夫!」

とほめていくうちに、彼女は、

「お料理って大変だけど、楽しいね」

と、余裕が少し出てきたのか、言っていた。

私は、料理作りが義務感としてではなく、
食の文化としてや、人が生きていくための基本としての
大切さを教えていきたいと思っているし、
また、何よりも料理は、集中力、想像力、
そして人への思いやりの気持ちを
学ぶことにもなると思う。

今まで、ここについては、私自身、日頃、
娘たちに教えてきたつもりではあったが、
いざ、娘が独立するとなると、
何と数多くのことを教えずにきてしまったのか、
母親として、一体今まで何をしてきたのか、
最近、反省の連続だ。

人との接し方は大丈夫だろうか。
仕事をしていく上での礼儀や、
上の人に対する言葉づかいは大丈夫だろうか。
ストレスの切り替えや、また、
上司に怒られたとき、この子は耐えられるか、
前向きに謙虚に受け止められるか、
考え出すときりがない。

娘が親離れをしようとしているのに、
どうも私は、子離れさえもできていない気がしている。

自分が引っ越すのではないのに、
私が焦り始めているという、
何とも親として未熟な状況を感じている。

そんな中、料理を作りながら、
娘がポツリと言った。

「年末の旅行、楽しかったね。
 …何か淋しいな。」

私は涙が出そうになり、
娘を抱きしめたくなる気持ちを抑えた。

「大丈夫よ。いつでも会えるから。」

これが、精一杯の言葉だった。

これからが、親離れ子離れの、
本当の意味での始まりとなる。
春は、本当にもうじきやってくる。

投稿者 椎名 あつ子 : 14:20 

プロフィール

横浜心理ケアセンター

『横浜心理ケアセンター』

2000年から横浜市中区で開設しているカウンセリングルームです。
多種医療・弁護士などとの協力体制のもと、心理カウンセリングを行っています。
このブログでは、センターの代表である私が、一人の人間として、一人の女性として、またカウンセラーとして、日々の生活の中で感じた様々な出来事などをエッセイ風にみなさんにお伝えしていきたいと思います。

月別アーカイブ

カレンダー

2012年2月
« 1月   4月 »
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
272829  

オススメ