2026年07月アーカイブ

2026年07月13日

マイケルジャクソンを想って

先日、映画『マイケル』を観てきました。

ラストステージを目前に控えながら、この世を去ったマイケル・ジャクソン。

その死は、鎮静作用のある薬剤などの過剰投与による急性中毒とされています。

世界中から愛され、成功も名声も手にした彼が、なぜそこまで薬を必要としなければならなかったのでしょう。
映画を観終えたあと、私の心に残ったのは、そんな問いでした。

寝れない不安
誰にも見せられない孤独
完璧も求められる日々

もしかしたら、彼に本当に必要だったのは薬ではなく、安心して眠れる場所や、「大丈夫だよ」と抱きしめてくれる誰かのぬくもりだったのではないか……。
そんなことを思わずにはいられませんでした。

世界中の人々を魅了し、「キング・オブ・ポップ」と呼ばれたマイケル・ジャクソン。
私は彼の華やかなステージの姿よりも、一人の少年として生きた時間が、とても心に残りました。

幼い頃から厳しい父親のもとで育ち、普通の子どものように遊び、甘え、失敗しながら成長する時間はほとんどありませんでした。

「もっと頑張れ。」

そんな環境の中で生きてきた子どもの心は、どれほど寂しかったのでしょう。

カウンセリングをしていると、幼少期の体験が大人になってからの生きづらさにつながっている方と、たくさん出会います。
子どもの頃に十分に愛されたと感じられなかった人。
親の期待に答え続けなくてはならずに
いつも「いい子」でなくてはならなかった人。

大人になれば忘れられると思っていても、心はちゃんと覚えています。

映画の中のマイケルも、世界中から拍手を受ける一方で、心のどこかに消えない孤独を抱えていたように感じました。

どれだけ成功しても、お金があっても、名声を手にしても、人の心が本当に求めているものは、
「ありのままの自分を愛してもらえる安心感」なのかもしれません。

そして、私がもう一つ印象に残ったのは、父親との複雑な関係がありながらも、家族を大切に思い続けていたことです。

傷ついた経験があるから、人を愛せなくなるとは限りません。

むしろ、傷ついた人ほど、「自分と同じ思いをさせたくない」と願い、精いっぱい人を愛そうとします。

でも、その優しさゆえに、自分の心を置き去りにしてしまうこともあります。
私はいつも思います。

カウンセリングとは、「過去を変えること」ではなく、
「過去に傷ついた自分を、今の自分が迎えに行く時間」なのだと。

「あの時、本当は寂しかったね。」
「よく頑張ってきたね。」

そんな言葉を、自分自身にかけられたとき、人の心は少しずつ癒えていきます。

映画『マイケル』は、一人のスターの成功物語ではありませんでした。

それは、一人の少年が愛を求め続け、
自分らしく生きようともがいた人生の物語だったように思います。

映画を観終わった帰り道、私はふと考えました。

私たちは誰もが、大人になっても心の中に小さな子どもを抱えて生きています。

だからこそ、自分にも、大切な人にも、少しだけ優しくなれたらいい。

そんなことを静かに教えてくれる、とても心に残る作品でした。

投稿者 椎名 あつ子 : 12:40 

プロフィール

横浜心理ケアセンター

『横浜心理ケアセンター』

2000年から横浜市中区で開設しているカウンセリングルームです。
多種医療・弁護士などとの協力体制のもと、心理カウンセリングを行っています。
このブログでは、センターの代表である私が、一人の人間として、一人の女性として、またカウンセラーとして、日々の生活の中で感じた様々な出来事などをエッセイ風にみなさんにお伝えしていきたいと思います。

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