マイウェイ 女性カウンセラーのプチ・エッセイ

私の小さな時代、
そして、大切な居場所が
なくなろうとしている。

仕事帰りによく行った店だった。

そこは、飾り気のない無機質な、
でも、温かみのある空間だった。

情熱とまじめさと、
そして不器用な人ばかりが、
その店には集まっていた。
優しい従業員の笑顔に、
何度も救われた。
そして、人生観豊かな
オーナーが好きだった。

でも、今年始まったばかりのとき、
終わりが突然来た。

私の大好きなオーナーと、
私の大好きな従業員が、
分裂した。

何が起きたのか、
誰が起こしたのか、
分からない。

分からないことばかりの中で、
終わるという事実と、
それに伴う様々な噂だけが
走り出す。

私は、取り残された子どものように、
ただ、茫然とする。

オーナーに話しかけたくても、
従業員と話したくても、
そのこと自体、
許されない掟があるようで、
終わる事実を静かに受け止めた。

だから、大人になりたくなかったと、
ひとり、つぶやいたりしている
自分がいる。

淋しいんだよね。
関わった人と、
バラバラになることが。
良い距離感の付き合いを
大切にしてきたけど、
突然終わりが来ると、
距離感は果てしなく遠く、
ただの他人となっていく。

いい距離感とは、
年齢も、住所も、連絡先も知らず、
ここにくれば会えることが
大切だったはずなのに、
もうすべて、プツンと切れてしまう。

つらいな。
淋しいな。

だけど、私もまた、
違う道を歩んでいく。

あの店で、たくさんの人と出会い、
教えられたことは、心に残そう。

だけど、さようなら。

年を重ねると、若いときと違って、
さよならは、どんどん
苦しいこととなることを、
久しぶりに改めて感じた。

ありがとう。
そして、さようなら。