2007年04月アーカイブ

2007年04月18日

もう少し待ってみて

今日も、夫婦カウンセリングで
考えさせられた。

見た感じ、とてもナイーブで、
繊細で、穏やかな優しい夫。
情熱的で、ハッキリしていて、時に感情的、
でも本当はとても弱い妻。
その2人は、お互いの感覚の行き違いで、
歯車が回らない状態。

夫は、外から見ると静かだけれど、
突然、人が変わったように
冷たい言葉で彼女を追い詰める。
妻は、いつもの激しい感情を出しながらも、
その言葉にぐっさりと落とし入れられ、
ひとり闇の中に落ちる。

妻は、夫に甘えたいのに
甘え方が分からないと訴え、
夫は、妻が何を求めているのか
全く分からないと言う。

そんな2人は、
離婚する方が2人のためにいいのではと、
結論を出そうとしている。
私は、この2人の出そうとしている結論に、
賛成も反対もできない立場の中、
ひたすら、お互いの傷口を
ふさごうとする。

帰り際、玄関で、
夫の靴をそろえてあげている彼女がいた。
「ありがとう」と
穏やかに言う夫。

この2人は、本当にもうダメなのかと
思わずにはいられない瞬間だった。
だけど、この2人は、
そんな事で元の形に戻るには、
傷付き合いすぎていることも分かっている。

けれど、本当は、
お互いがそれぞれ欠けているものを、
けんかしながらも、
補っているように感じる。
なのに、時に、違う性格や価値観は、
合わないと決め付けたくなる。

けんかや闘うことに使われている時間は、
実は、意味のあることだと思う。
本当の終わりは、
けんかも闘いもない中で、
あきらめて生活すること。
私個人としては、そう思う。

「別れないで欲しい」
と思いながらカウンセリングすることは、
カウンセラーとしてはプロではない。
でも、私個人としては、
「もう少し待ってみて」
と思った。
心から。

投稿者 椎名 あつ子 : 18:59 

プロフィール

横浜心理ケアセンター

『横浜心理ケアセンター』

2000年から横浜市中区で開設しているカウンセリングルームです。
多種医療・弁護士などとの協力体制のもと、心理カウンセリングを行っています。
このブログでは、センターの代表である私が、一人の人間として、一人の女性として、またカウンセラーとして、日々の生活の中で感じた様々な出来事などをエッセイ風にみなさんにお伝えしていきたいと思います。

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