2008年05月アーカイブ

2008年05月09日

うつ病

「うつ病は、誰もがかかる病気です」

あるプロレスラーが言ったことば。
これは、いつも私が言うことばでもある。

夜遅く、テレビをつけたら、
その日、うつ病特集だった。

夢を表現する
強いはずのプロレスラーが、
うつ病になった。
1年半、大好きなリングに上がれず、
それでも彼は、病気を認められず、
お酒に日々おぼれ、
アルコール依存という病名までついたという。
彼は、落ち着くはずの家のマンションも、
居場所とならなくなり、
屋上から飛び降りることばかり
考えていたという。

その日のリングでは、
彼を支えてくれた命の恩人が、
相手だった。
彼は、長い時間の闘いの末、
リングの上では負けた。

自分から、仮面でもあるマスクを脱いだ後、
彼はリングの上から、ファンに、
自分の病名を告白した。

「僕は、うつ病でした。
そして、今でも治療中です。」

リングの上で泣き崩れながらも、
堂々と自分の病名と向き合おうとしている彼に、
ファンの拍手が鳴り響く。

私は、気が付くと、泣いていた。
頬を、大粒の涙が伝っていた。
カウンセラーだからではなく、
うつ病の苦しさを知っている
ひとりの人間として、
このテレビは、胸に何かが響いた。

恐ろしい仮面のマスクを取った彼は、
とても純粋で、
まじめな表情の、普通の青年だった。

彼は言う。

「うつ病に対して、偏見のない世界が、
僕たちを救うのです。」

そう、だからあえてもう一度、
言いたいのです。

うつ病は、あなたも、そして私も、
ある日、突然、なりうるのです。
だから怖れないで。
そしてどうか、
弱いからと言わないで。
今、現代の社会では、
当たり前に起こる病気だから。
あなたも、そして私も、
人間だから起こりうるのです。
治せばいいのです。
治る病気だから。
偏見を捨てて欲しい。
おかしいわけじゃないから。

うつ病という病気を、
もっと知ってほしい。
心から。

投稿者 椎名 あつ子 : 20:49 

プロフィール

横浜心理ケアセンター

『横浜心理ケアセンター』

2000年から横浜市中区で開設しているカウンセリングルームです。
多種医療・弁護士などとの協力体制のもと、心理カウンセリングを行っています。
このブログでは、センターの代表である私が、一人の人間として、一人の女性として、またカウンセラーとして、日々の生活の中で感じた様々な出来事などをエッセイ風にみなさんにお伝えしていきたいと思います。

月別アーカイブ

カレンダー

2008年5月
« 4月   6月 »
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031  

オススメ