2008年06月アーカイブ

2008年06月02日

静まり返った広いお寺で、
私は目を閉じ、手を合わせる。
生きていた頃の祖母の、
気丈な性格だった姿が目に浮かぶ。

(あなたから受け継いだものを、
私は私なりに守ってゆきます。
どうか、見守っていてください。)

何度も何度も祈った。

その後、父は、
何かあったときのためと言って、
一人っ子の私に、
法事の行い方の説明を繰り返す。

私は上の空で、
次、何かあったときという意味を
無理矢理もみ消そうとしていた。
決して避けられない現実が、
将来、起きることを予想すると、
私は辛すぎて、消えてしまいたくなった。

お墓に供えた花が、雨の中、
美しかった。
母親をなくした父の背中が、
優しかった。
仏様となった祖母の魂が、
私の体の中で、
今日から生き始めた。

私は、これからの人生を、
祖母の魂を感じながら、
両親を想って過ごしていきたいと
心から願った。

すべての風景が愛しく思えた
雨の日の今日、
魂ということばを
かみしめた日となった。

投稿者 椎名 あつ子 : 17:07 

プロフィール

横浜心理ケアセンター

『横浜心理ケアセンター』

2000年から横浜市中区で開設しているカウンセリングルームです。
多種医療・弁護士などとの協力体制のもと、心理カウンセリングを行っています。
このブログでは、センターの代表である私が、一人の人間として、一人の女性として、またカウンセラーとして、日々の生活の中で感じた様々な出来事などをエッセイ風にみなさんにお伝えしていきたいと思います。

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