2008年02月29日

ママの愛

母を愛せない人たち。
彼女たちは、
自分の母親からの愛を
感じられずに生きてきた。

小さいとき、ピアノの練習を強制され、
間違えたことで何度も手を叩かれた。

また、ある子は、弟、妹が
母のひざにのっていることで、
自分には母のひざはないものとあきらめた。
母は、彼女をひざにのせる余裕はなかった。
何故なら、お姉ちゃんだから。

また、ある人は、やっとの思いで
いじめられていることを
打ち明けたのに、
「でも、学校だけは行きなさい。」
と言われて、
6年間、小さくなって生きてきた。
母親にももう、打ち明けることをあきらめて。

彼女たちは、大人になって、
はじめて生きづらさを訴える。
彼女たちは、甘えたり頼ることは
いけないことと考え、
マイナスの自分の感情を抑え込む。
そしてまた、人を心から
信じることを拒む。
いつか、自分が裏切られる恐怖を、
最初から、自分から防御して
生きていくしかないから。

それは、彼女たちが育ってきた中で、
気付き、感じて、
自然に身についてしまったこと。

それなのに、そのことで、
彼女たちは苦しみ、悩み、
自分を責める。
彼女たちは、彼女たちが小さかった
あの頃の母を、少しずつ知る。
知るうちに、感じる。

(愛せない。どうしても。)

そういった、あきらめに似た感情で、
彼女たちは、母親を今、
少しずつ彼女たちのやり方で
愛し始める。

それは、あきらめ、求めることをやめた、
悲しい想い。

(もう一度、私を抱きしめてよ。)

この想いを、心にうーんと秘めて。

私の、悲しくもやさしいなクライアントたち。
私はやはり、この人たちを見捨てられない。
だって、好きだから。

投稿者 椎名 あつ子 : 15:09

プロフィール

横浜心理ケアセンター

『横浜心理ケアセンター』

2000年から横浜市中区で開設しているカウンセリングルームです。
多種医療・弁護士などとの協力体制のもと、心理カウンセリングを行っています。
このブログでは、センターの代表である私が、一人の人間として、一人の女性として、またカウンセラーとして、日々の生活の中で感じた様々な出来事などをエッセイ風にみなさんにお伝えしていきたいと思います。

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