2007年03月26日

詩集

何冊かの本を買った。
その中の1冊、
谷川俊太郎詩集。

彼の詩が、少しずつ、
時と共に変わっていく。
両親の死、恋、離婚、再婚、
そしてまた離婚、
自身の老い…
本の後につづられる年譜と共に、
彼の生活の体験が、
確実に彼を変えていく。

詩集の中にあった
思春期心身症と呼ばれる
少年少女に向けた言葉が
私の心の中に入ってきた。
突然の日の出の一筋の光が
瞳の中に入り込むかのようだった。
衝撃を受けた。

やわらかいいのち
という詩だった。

私たちの生きる証

怒りながら哀しむ
戸惑いながら決意し
突き放しながらしがみつき
拒みながら待ち続け
謝りながら責める
途方に暮れながら主張し…
どこへ行こうとしているのか
それでも私たちはやわらかい
自身のいのちに帰るしかない…

やわらかいいのち…
なんと優しい言葉だろう。
そう、この詩を書いたのは、
谷川俊太郎が新しい恋人と
長い同棲にピリオドを打ち、
結婚したとき。59歳。

人は変わる。
たとえ偉大な詩人でも、
決断は人を大きく変える。

その後も、彼は変わり続け、
今でも言葉を大切に生き続けている。

静かな、眠れない夜に
ぴったりな詩集だった。

投稿者 椎名 あつ子 : 19:55

プロフィール

横浜心理ケアセンター

『横浜心理ケアセンター』

2000年から横浜市中区で開設しているカウンセリングルームです。
多種医療・弁護士などとの協力体制のもと、心理カウンセリングを行っています。
このブログでは、センターの代表である私が、一人の人間として、一人の女性として、またカウンセラーとして、日々の生活の中で感じた様々な出来事などをエッセイ風にみなさんにお伝えしていきたいと思います。

月別アーカイブ

カレンダー

2007年3月
« 2月   4月 »
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031  

オススメ