2007年10月アーカイブ
2007年10月31日
昨年の今頃、深い悲しみの
真っ只中にいた。
絶望と、苦悩と、怒りと、
そしてあきらめと…
心の中が、おびただしい感情で
ぐじゃぐじゃだった。
私の友人が、
あの頃の私と同じような状態に
なっていることを知った。
友達の話を聞きながら、
私は1年前を思い出し、
そして苦しみと悲しみを
痛いほどに感じた。
私はあれから、完全に立ち直り、
遠い昔の出来事の
一部となっている。
それでも、
深い深い心のどこかに、
悲しみは残ったままで、
化石のようなかたまりのままに
なっている。
私の友人が、時間とともに、
この悲しみから
解放されることを祈った。
「人は変わるもの。」
それが、私たちの中で、
一致した答だった。
2007年10月29日
姉さん
10歳以上年上の女性の
お誕生日だった。
私は、プレゼントとして、
ちらし寿司を作って
持って行った。
私よりも、10年も生きた
先輩である彼女に、
そして、私なんか
足元にも及ばない経験をしている
重みのある彼女を
尊敬している私は、
少し、そわそわと緊張しながら、
彼女のために集まった
たくさんの男女の友人を
見ていた。
みんな、素敵だった。
次の日の昼過ぎ、
彼女から電話があった。
「昨日はありがとね。
本当に美味しくて、
嬉しかったよ。
ちらし寿司ってさ、
心がないと作れないってこと、
私も知ってるからさ。
本当、ありがと。」
男っぽい女性で、
少し恐いところもあるけれど、
こういった心細かな言葉を
かけられる人だから、
だからあれだけ
たくさんの人が、
彼女のバースディに集まるんだなと
つくづく感じた。
私も、彼女のファンのひとりで
これからもいたいと思った。
「姉さん、電話ありがとう。」
あなたは素敵な人です。
と、心の中で感じた日だった。
2007年10月26日
卒業式
1年ぶりくらいに、ある店に、
実家に寄った帰りに行ってみた。
そこは、私の20年来の男友達の
経営するバー。
彼は、奥さんと2人でひっそりと、
客が誰もいない中、
座っていた。
「おー!久しぶり!」
「ほんとね。」
「何、飲む?」
「うーん、車だから、
コーヒーってある?」
そんな、他愛もない会話をしたのも
久しぶりで、
ほんと、なつかしく感じた。
昔は、本当によく通っていて、
私の大切な居場所の
ひとつでもあった。
「最近、ここに来ているみんな、
元気?」
あの頃の私を含む常連客についても、
仲間意識で、
なつかしく、気になった。
「あいつはさ、狭心症でさ、
2ヶ月入院したよ。」
そのあいつは、
私よりひとつ年下の
スポーツ人間だ。
20年の月日の重さを、
ひしひしと感じた。
みんな、年をとった。
いつまでも若いもりでいるはずが、
やはり、知らぬ間に、
無理がきかない体になっていた。
そんな話をしている、
目の前の、私の7歳年上の男友達も、
髪の毛は真っ白になり、
バカ話をしながらも、
どこか物悲しげで、
若い、彼の2番目の奥さんだけが、
ニコニコしていた。
もう、この店に
私の居場所はどこにもないと、
しっかりと感じずには
いられなかった。
私がこの街から離れて、
10年近くの時間が、
大きな距離を、間違いなく作っていた。
少なくとも、10年前、
彼は私の唯一の相談相手だった。
夜遅くまで、酔っ払いの私と
付き合ってくれた。
2人でよく踊った。
そして、よく笑った。
最初の奥さんとは、親友だった。
いつの間にか、彼女の消息は、
彼と離婚してから
分からなくなっていた。
それでも、若い今の奥さんと彼は、
少なくとも幸せそうで、
少し安心した。
「また来るね。バーイ!」
一杯のコーヒーで帰ったことなど
なかった私は、
自分に何か違和感を感じながら、
心の中で、
「そう、これが卒業…」
とつぶやいた。
それでもまた、近いうちに、
車をおいて飲みに来ようと思った。
だって、やっぱり、
大切な男友達だもの。
2007年10月24日
思春期の性について
18歳、大学1年生の女の子の
性の相談を受けた。
少し、年の離れた彼が、
最近できた。
週2回ほど会う中で、当然のごとく、
2人の関係は深まっていった。
彼女は、婦人体温計を
つけはじめ、
危険日には、彼と話し合って
セックスを避けるように
注意していた。
ところが、まだ若い彼女の
体の周期には多少ずれがあり、
はっきりとグラフで
見分けることが難しいことと、
妊娠していないのか、
不安がいつもあることに
気付き始めた。
彼女は、カウンセリングの中で、
母親とも相談し、
産婦人科の先生のすすめで
低用量ピルを飲み始めた。
若い子がピルを飲むことへの
批判の声も、
正直、あって当然だと思う。
ただ、ここ横浜心理ケアセンターには、
若い子が中絶後の心の傷を
誰にも話せず悩んで来るケースも
後を絶たない。
子どもは、親が知らないうちに成長し、
大人へと変化し、
性の問題を話し合う家庭が少ない中で、
中絶もこっそりと行われている。
妊娠したら、生むか中絶するかの
選択しかない状態を
受け入れるしかない女性にとって、
これは若い年代の場合は、
大きな大きな問題となっていく。
若い子に、親が、
セックスはまだダメよと
いくら伝えても、
また、自分の子はまだ
経験していないと思い込んでも、
その時は必ず来るということ。
産婦人科の先生は、
今のピルは、昔のイメージと違い、
副作用もほとんどなく、
その後、きちんと妊娠することも可能で、
中絶するというリスクを考えると、
女性が自分自身で、
自分の体を守るという考え方が
適切であると話してくれたそうだ。
さて、若いあなたたち、
この問題をどう捉えますか?
また、お母さんたち、
ピルを飲むことを
認められますか?
一番大切な、思春期の性を、
日本の学校は、あまり
教育していない状況は事実である中、
もう一度、カウンセリングの中でも
考えて話していきたいと、
私自身、考えている。
2007年10月22日
愛の賛歌
ひとすじの涙を、
二度、流した日。
今日は、はるか彼方まで、
この世がさわやかであるような、
そんな秋晴れの日曜日。
久しぶりに、映画を観に行った。
私の大好きなシャンソン歌手である
エディット・ピアフの一生を
赤裸々に語っていた。
パリのモンマルトルの路上で歌う、
勝手な母親と、
大同芸人の父との間に
生まれた彼女は、
4歳の頃、母に捨てられ、
勝手な父親の生き方に
振り回される幼児期を送る。
母親代わりの娼婦や、
たくさんの恩人とも
引き裂かれる運命の中、
麻薬とお酒におぼれていく。
それでも、そんな彼女の歌を求める
たくさんの人たちの心を惹きつけて、
彼女は生きていく。
あまりにも勝手で、自己中心で、
傲慢で、攻撃的な彼女が、
唯一愛したアメリカ人は、
妻と3人の子どものいる
ボクサーだった。
彼女は、自分の物には
決してならない唯一の男を、
心全身で愛する。
ある日その男は、一日も早く
愛する彼女に会うために、
飛行機に乗る。
彼女は、彼にカルティエの時計を
プレゼントするために、
この日を待つ。
そして彼は、
二度と会うことのない人になった。
飛行機が墜ちた。
それが「愛の賛歌」を
歌うことになった意味だということを、
今日、初めて知った。
彼女は、その日から、
亡くなるまでの10年間、
薬とお酒で、廃人のようだった。
50歳程の、
彼女の最期のメッセージ。
「私には悔いはない。
私の上に過去起きた
良いことも悪いことも、
すべて私にとっては同じこと。
私には悔いはない」
涙がひとすじ流れた。
しばらくの間、ボーっとして、
夜、パリでエディット・ピアフが
歌っていた小さなシャンソエのような、
小さな横浜の酒場の
ライブに出かけた。
偶然、ピアフの曲を、
年老いた男性が歌っていた。
「他の人と踊ってもいいの。
でも、私がここにいることは、
忘れないでね」
また、涙が流れた。
今日は何故か、
愛の賛歌におぼれた日だった。
こんな私にも、
決して口にはしないだろうけれど、
大切な人がいる。
いつか、もっとスナオになれれば、
もっと楽に生きられるのかもしれない。
ピアフの生き方も、
考え方も、行動も、
好きにはなれないけれど、
彼女の歌は、変わらず大好きで、
同じ女であることには
変わらないことを知った。
今日は、一晩中、
彼女のCDを静かに流して眠った。
プロフィール
2000年から横浜市中区で開設しているカウンセリングルームです。
多種医療・弁護士などとの協力体制のもと、心理カウンセリングを行っています。
このブログでは、センターの代表である私が、一人の人間として、一人の女性として、またカウンセラーとして、日々の生活の中で感じた様々な出来事などをエッセイ風にみなさんにお伝えしていきたいと思います。
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